日本人と英語

「英単語の記憶」=「和訳の記憶」ではない

2026年9月6日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「英単語学習の科学#373」からテーマをいただいて書いていきますが、第一回目の今回のテーマはそもそも「英単語の記憶とは何か」です。

本書の冒頭では、英単語を覚えることは必ずしも和訳を覚えることとイコールなのではなく、次のような語彙習得プロセスであると書かれています。

①語形(word form)を覚えること

語形、すなわち単語のスペリングや発音を覚えることです。例えば、hydrogenというスペルの単語は【háidrədʒən】と発音することを記憶することです。

②単語の意味を知ること

そしてそれは「水素」を意味することを知ることです。

③語形と言いを結びつけること

最後に、hydrogen【háidrədʒən】という語形から「水素」という意味を思い出したり、「水素」という意味からhydrogen【háidrədʒən】という語形を思い出せるようになること、すなわちこれは語形と意味のマッピングにあたります。

そして、第一言語(母語)習得においては①と②は通常、同時に行われます。

一方で、第二言語(外国語)習得においては①の語形を覚えるだけで②新しい概念を覚えるは必要なく、すでに母語において知っている意味を結び付けるだけで済みます。

つまり、新しい①とすでに知っている②をマッピングするだけでよいため、②(意味の習得)の重要性は比較的低いのです。

ただし、当然ですが母語と外国語では単語の意味するところや運用範囲が異なるので、③のマッピングには調整が必要となるという点で、母語における単語の記憶よりも難しい部分があるというのは、前回の#372「英単語1万語習得法」の関連ブログで確認しました。

本書では、その調整の難しさに関して次のような例を取り上げて説明しています。

「プリンストン大学のジョージ・ミラー教授らの研究では、英語を母語とする小学生に彼らが知らないであろう難易度の高い英単語の定義を英語で与え、作文させました。その結果、与えられた定義に引きずられた誤用が見られました。例えばerodeという単語には『侵食する(eat out)』という意味があります。erode=eat outと学んだ小学生は、my family erodes a lot.と言うほほえましい間違いをしました。eat outには『侵食する』に加えて『外食する』という意味もあるため、『私の家族は良く外食します』と書こうとして、『私の家族は良く侵食します』と書いてしまったのです。このように思わぬ誤用をしてしまうのは、何も和訳に限った問題ではなく、日本語を介さずに英語の定義を使用しても起こりうる問題であることを、ミラー教授らの研究は示しています。」

つまりは、③のマッピングにおける調整が「英単語の記憶」には重要であるというポイントを英単語学習を始めるスタート時点で明確に意識することが重要であることを私たちは知る必要があるのです。

 

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