日本人と英語

英語は単語的に低燃費な言語である

2025年1月28日 CATEGORY - 日本人と英語

籍紹介ブログにてご紹介した「理系的英語習得術 」から一つだけテーマをいただいて書きたいと思います。

というのも、その記事の中で以下のように書きました。

「一瞬、『理系的』というキーワードに飛び道具的な何かを期待してしまいましたが、本書を読了することによって改めて分かることは、当然にして『理系』であろうが『文系』であろうが、しっかりとした人が経験と論理に基づいて作り出す『英語習得法』はいわゆる一つの『王道』に集約されるという事実です。」

とは言え、その中で「単語」に関する著者の視点が非常に「特徴的」でしたので、以下にいくつかその該当部分を要約引用します。

まず、著者の単語学習に関する認識について。

「単語の学習は英語の習得において避けて通れない。これを苦行のように思っていて、できることなら避けて通りたいと感じている人は少なくない。これはプロの英語通訳の方であっても同じだそうだ。日々知らない単語に出会い、自らの語彙力の不足を嘆いていると聞く。要は、語彙力が高いに越したことはないが、勉強すればするほど際限なく『知っておきたい単語』が湧き出てくるのが実は英語学習の世界なのである。つまり、単語学習も文法学習も多くの事項を暗記しなければならないという点では同じだが、文法では学習の総量が想像できるのに対して、単語学習は上記の通り『沼』のようでどれだけ勉強しても際限がないように感じてしまう点が決定的に違う。」

では、そのような単語を合理的に学習するにはどうしたらいいのでしょうか。

「このような英語の単語学習で、『沼』にハマらないようにするためには、英単語の『記憶の呼び起こし』という方法を取ればいい。義務教育の小学校と中学で学習する英単語は2200語。よって中学レベルの簡単な英文を読みながら最初にこの2200語を呼び起こすのだ。ちなみに一般的な英語のコミュニケーションの9割をカバーするには、およそ3000語が必要(フランス語は2000語で日本語は10000語)。このように日本語と比べ英語はずっと少ない数の単語で日常生活が送れるようになっている。つまり、基本的な3000語さえ記憶の呼び起こしができるようになれば、会話や文章の大部分が理解できるということになる。」

つまり、英語は日本語に比べて単語的に非常に低燃費な言語であると言え、このことからすると少ない基本語で日常的なコミュニケーションを賄えるのでむやみやたらに単語を増やすことはないということになります。

しかも、次のように続きます。

「この3000語には中学英語で習ってすでに体に染みついている単語もたくさん含まれているので、今から新たに3000語もの単語を覚えなければならないのではない。むしろ、頻度の高い基本的な3000語をちゃんと使いこなすことで、大半が表現できるのである。特に一般人が英語を使う際には、こうした『基本語を使いこなす』技術が非常に大切である。」

この事実を知っていることで、何時までも単語を知らないという恐怖におびえる必要がなくなり、ただただいわゆる一つの「王道」を邁進することができるようになるはずです。

その意味では、本書内唯一の「理系的な飛び道具」と言ってもいいのかもしれません。

 

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