日本人と英語

英語耳への道のり~多読編~

2026年8月10日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「『英語耳』独習法」に関連して、「英語耳」を実現するための道のりを具体的に見てきましたが、第三回目の今回が最終回です。

前回、英語の音を全て聞き取れるようになっても、語彙力が不足していれば意味を理解できなければ、「完全なる英語耳」を獲得することはできないということでリスニングに必要な「語彙」について見ました。

最終回の今回は、著者が「語彙」に加えてもう一つ英語耳獲得に効果がある要素として捉えている「多読」について見ることにします。

まず、ここで湧き上がるのは、なぜリスニング力の向上のために「多読(読書)」が必要なのかという疑問でしょう。

著者はこの疑問に対して次の二つの効用を回答に充てています。

①英語を理解する訓練になること

読書では出てくる英単語を全部知っていても、英文を理解できないことがままあります。それは英単語と同時に英語の構文を知っている必要があるから。そのため、、まずはうんと優しい読み物で英文読書をはじめ、内容が分かるようになったら、同じような語彙レベルの本をスピードを上げながら読み、話すスピードを追い越すことを最初の目標とします。それぐらいのスピードで代替読めるようになったら、ペーパーバックなどに挑戦し、話すスピードよりも速いスピードで読めるようにトレーニングします。そうなると、リスニングの聞こえ方が劇的に改善されます。

②実践的な語彙の記憶ができること

単語帳に出てくる語彙の場合と異なり、読書体験の中で出会う英単語と日本語訳とは概して一対一では対応しません。意味の守備範囲もかなり広くなるからです。様々な語彙の使い方、すなわち実践的な語彙は読書体験の中でこそ効率的、効果的に身につけられます。

それでは、語彙編に引き続き特に印象的な本書の指摘についていくつか以下に引用しようと思います。

「多読の際、辞書を引くべきか引かざるべきかという質問をよく受けます。私はまめに引くことを勧めたい気がしますが、面倒くさい上、物語の勢いをそがれるのも事実。よって『気が向いたときに、適当に引くこと』を正解としておきます。読書のメリットはマイペースでできることですが、難易度も自分に応じて選べます。自分に合った難易度の本を見つける目安としては『20:1』または『95%以上』、すなわち知らない単語が20単語に1個以下の割合(比率で5%以下)です。こうした本を読む場合は、辞書派引かずに単語の意味を類推しながら読むほうが本当の読書力が付きます。一方で、どうしても読みたいペーパーバックがあって、知らない英単語がたくさん出てくる場合だけ辞書を引きましょう。その時も、何でも間でも片っ端から引くのではなく必要最低限にします。読書は本来ストーリーを楽しむものだからです。色々試して最終的に分かったのですが、ペーパーバックをすらすら読むために一番効果があったのは、英語の超基本動詞の多彩な使用法に慣れたことだということでした。これらの超基本動詞を使った文章をネイティブ並みにスラスラと読むためには、最低でもそうした文章に数千回である必要があると考えています。」

以前にご紹介した「英語の新しい勉強法」の関連ブログ記事「単語は何度出会えば覚えられるか」において

「『全く知らない単語』が5割以上のものは避けるべき(理想は、既知:未知=6:4もしくは7:3)だと著者は言います。」

という内容をご紹介しましたが、これはあくまでも「語彙を覚え増やす」ことを目的とする場合であって、今回の「20:1」というのは、リスニング向上を目的とした多読トレーニングであるという目的の違いがあることに注意すべきです。

高校生の時に雑誌「TIME」を購読していきなり挫折してしまったことを思い出しました。(笑)

「多読に挫折する人には主に次の2種類がいます。まず『自分のレベルよりもはるかに上のレベルの本を読もうとする人』。次に『知らない単語は全部辞書を引かないと気が済まない人』です。こういう人々は読書が楽しくないので挫折しがちです。多読の第一人者斉井邦秀先生は、挫折するのを防ぐために、次のような多読三原則を提唱していらっしゃいます。

・辞書は引かない(引かなくても分かる本を読む)

・分からないところは飛ばして前へ進む(分かっているところだけつなげて読む)

・つまらなくなったら、すぱっとやめる(楽しく読めない本は読まない)

私のように挫折を経験している人は、この多読三原則にはとても勇気づけられると思います。

なお、本格的なペーパーバックに行くべきかどうかを判断するのに最適な一冊としてアメリカの児童文学作家Louis Sacharの「Holes」という本を勧められていましたので私も早速読んで見ることにしました。

「英語の速読は日本語のそれと似ています。日本語では、重要な感じのキーワードのところはゆっくり、カナや何度も出てくる漢字のところは少し飛ばして読んでいますね?話を聞くときも、同じ飛ばし方をしているはずです。英語も、発音時に音が弱まるところ、例えば代名詞のyou me they 冠詞のa theなどはカナの感覚で読み飛ばされます。それらはキーワードとなる単語と結びつき、一塊の音として読まれるようになります。前置詞句も一塊で読まれます。英語では、強く読むところが漢字に相当し、弱く読むところがカナに相当すると思うとイメージしやすいです。」

これなども、冒頭のなぜリスニング力の向上のために「多読(読書)」が必要なのかという疑問に正面から答えてくれている内容だと思います。

 

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