日本人と英語

英語耳への道のり~発音編~

2026年8月1日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「『英語耳』独習法」に関連して、今回から「英語耳」を実現するための道のりを具体的に見ていきます。

第二回目の今回は「発音編」です。

私は、自らが主宰する「文法講座」の特別編としての「発音記号」の講座において、英語におけるすべての母音と子音の正確な発音を教えます(ただし、会話の時には比較的発音しやすい子音については常に意識するように伝え、母音についてはあまりに微妙なものが多いので簡略しても文脈を作れさえすれば完全に通じるので問題はないと伝えてきました。)

さらにその中で、子音については日本語には全く存在しないもの例えば、θ ð ʒ ŋなどについては詳細な解説をしていますが、基本的に日本語と共通する子音については日本語と一緒と考えても問題ないと伝えてきました。

この点が「リスニングを完璧にする」という目標の下で本書を書かれている著者と、あくまでも「会話をスムーズに行えるようにする」ことを目的とする私との違い(実際に私はとてもリスニングは完璧と言えないレベルだと自認しています)を表しており、書籍紹介ブログにおいても本書を紹介するかどうか迷ったことをお伝えしました。

ただ、本書の中では私自身「日本語と共通している」と思っていた子音の中に、実はそうではないものがあることを本書(実際の音声トレーニングについては著者の別の著作「改訂3版 英語耳 #369」)によってはじめて知ってしまいましたので今回はその子音の発音について書きたいと思います。

それは「s」の発音です。

以下、該当部分を引用します。

「さて、私が『英語耳シリーズ』で提唱しているのは、最初に徹底的に練習すべき子音は『s』だということです。『s』くらいもうできてるよ!と多くの日本人が考えていますが、実は99%の人がうまく発音できていません。『s』の発音なんて容易だし、どうでもいいというのは、多くの日本人が抱いている大きな誤解です。『そんなバカな』という気持ちは一度忘れ、次の、『s』の発音にまつわる注意事項を読んでください。」

① まず、『s』を単独で大きな音で発音できる必要があります。「す」とは全く違う音で、大きな『s』は、10m離れた人にも聞こえます。

② yes since place などの語尾の『s』が絶対に日本語の「す」になってはいけません。

③「さしすせそ」と「sa si su se so」は違います(『し』がshiすなわち『ʃ』とは違うのは多くの日本人が知っているが実は五段すべて異なる。)

④ ask next のsk stなど、『s』と他の子音がつながる発音を体得せねばなりません。

⑤『s』を大きな音で発音したり、小さな音で発音したり、少ない息でも切れの良い音で発音したりと、ネイティブと同じくらい多彩に発音できねばなりません。

では、なぜ最初に徹底的に練習すべき子音が『s』なのか、その理由が以下になります。

「最も基本的で使用頻度の高い1000単語の内、実に270単語に『s』の発音が含まれており、実に四つに一つ以上の割合です。さらに複数形や三人称単数の『s』も入れれば、英会話で使用される単語の三割以上を占めることになります。この出現頻度の非常に高いこの『s』音がキレイに発音できるようになると、あなたの発音全体が俄然英語らしくなるからです。そして、『s』音が正しく、強く発音できるようになると同じような口や舌の使い方が他の発音にも応用でき、英語の子音全般を発音する力が格段に伸びるからです。『s』のマスター具合と、英語全体を発音する能力は比例している、と言うのが私の持論です。」

実際に『s』の発音の仕方を見てみましょう(こちらは「改訂3版 英語耳 #369」から)。

「『s』は図のように舌を上の前歯の付け根に近づけて、隙間から強く息を出すときの音です。カタカナで書くと『スー』と言った感じの音ですが、母音の『u』の音はなく、息の出る音だけを鋭く鳴らします。『z』は『s』と同じ口の形のまま声を出した(声帯を振るえさせた)音です。実はこの音、日本人の最も苦手な発音ではないかと思います。日本人が苦手な発音の代表と言われる『r』よりもできていない人が多いのです。」

この説明を聞いて私は愕然としました。

そもそも日本語の「さしすせそ」は上下の前歯がくっついていないことに気づきました。(「し」については「sh」なのでそもそも異なりますが)その一方で、英語の「s」は、前歯はしっかりと上下閉めます。

英語では日本語よりも前歯の付け根に近づけて、隙間から強く息を出す意識が強い感じがします。ですから、日本語の「s」も英語の「s」もどちらも「歯茎摩擦音」と呼ばれるようですが、「歯茎」も「摩擦」もどちらにも確実に英語の方が意識が強く向かっているはずです。

また、次のような違いがあって「英語っぽく」聞こえるのだと納得感が高まりました。

「日本語では子音を弱く発音して母音と完全に一体化させて発音しますが、英語では子音と母音ははっきりと分けて発音します。そして多くの場合、むしろ子音の方が強くなることに注意をしてください。」

さらに、そうなるとその違いの影響は「z」にまで当然にして及びます。

「『s』を発音する時に声帯を振るわせると『z』の音になります。『s』と同様に、語尾の『z』で苦労する人が多いようです。かなり英語がうまい方でも母音『u』をつけてカタカナの『ズ』になてしまっているのをよく耳にします。例えば、【zu:z】では語尾の『z』の後に口が『u』の方向に動きたくなると思います。そこをぐっとこらえて『z』のまま終えてください。『z』の音だけを、口の前の方の空間で一瞬響かせればよいのです。」

声帯を震わせる(濁点をつける=摩擦を高める)という動作を加える必要があるので、日本語で「子音と母音を一体化させる」ことに慣れ切っている私たち日本人にとってはただでさえ、「s」で戸惑うのに、「z」ではなお大変になります。

恥ずかしながら、英語の「s」の発音の存在に今、私は愕然としています。

このように、一つ一つの発音を「改訂3版 英語耳 #369」を活用しながらマスターするのが第一段階。

第二段階として、音節(子音と母音の組み合わせ)を一塊として発音するトレーニングをします。例えば、strengthだったら「stre」までを一塊にして発音するイメージです。このアクセントがある音節を滑らかに発音できれば後は音を添えるだけでどんな単語でも発音可能となります。もちろん、ここでも「改訂3版 英語耳 #369」を活用します。

そして第三段階としては、複数の単語をつなげた文の発音のトレーニングです。この段階で必要となるのがプロソディ(英文を構成する子音・母音の強弱と単語の発音スピードを含む話し方全体)をマスターすることです。逆に言えば英語に日本語のプロソディを期待している間はリスニングができるようにならないのです。とは言っても、英語のプロソディにおいて重要なことは次の三つしかありません。

①英単語の冒頭の母音は直前の単語の語尾子音につながる。

②同じ子音が連続する時は二つが非筒になろうとする。その際、一つ目は非常に弱く(もしくは発音せず)、二つ目のみ発音する。ただし、一つ目の子音の「間(ま)」だけは残す。

③語尾の子音は発音を省略される。特に破裂音(p t k)についてはそれが顕著。

この第三段階のトレーニングにおいて活用するのが「15時間で速習 英語耳 #370」です。

このように、第一段階の個別の発音、第二段階のその組み合わせの音節の発音、そして第三段階の英語におけるプロソディをマスターすることがすなわち「英語耳」を獲得するということなのです。

 

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