日本人と英語

英語耳への道のり~語彙編~

2026年8月8日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログでご紹介した「『英語耳』独習法」に関連して、「英語耳」を実現するための道のりを具体的に見ていますが、第二回目の今回は「語彙編」です。

前回は、「発音編」として、第一段階の個別の発音、第二段階のその組み合わせの音節の発音、そして第三段階の英語におけるプロソディをマスターすることで、「英語耳」を獲得する方法を確認しました。

しかし、英語の音を全て聞き取れるようになっても、語彙力が不足していれば意味を理解できなければ、「完全なる英語耳」を獲得することはできないのは当たり前です。

ですので、今回は本書よりその語彙力を高める方法を学ぼうというわけです。

ただし、本書で取り上げられているこの方法はすでに英語がゲルマン系である本来の英語の語彙とその後に取り入れられたラテン語系(主要英単語1万2千語の約59%)の語彙の二系統からの語彙からなるという前提をもとに「語源」という切り口で攻略しようというもので、「一度読んだら絶対に忘れない英単語の教科書#323」などで確認したものでした。

というわけで、その詳細についてはそちらの記事をご参照いただければと思いますが、それでも特に印象的な本書の指摘についていくつか以下に引用しようと思います。

「日本人はネイティブに比べ、ラテン語系の動詞を使って英文を形作ろうとする傾向が強いようです。例えば、I will reserve a table. I will decide. Iwill excuse him.など。これに対してゲルマン系の動詞を使うと、I make ○○のように文をパターン化でき、さまざまな目的語を当てはめることで多彩な表現を実現していけます。ラテン語系の単語は英語にとってはいわば外来語です。ネイティブが会話で使う語彙は文の中心になる動詞がゲルマン系の動詞、その目的語や形容詞、副詞がラテン語系になるのが一般的です。」

ちょっとだけ本題とはそれるかもしれないですが、この指摘は私が自著「富士山メソッド」の中で書いた「ネイティブの『しなやか英語』と日本人の『ごつごつ英語』との違い」の指摘そのものではないかと思うのです。

また、なぜ日本人がこのような傾向を示すのかについての理由らしきことも。

「ゲルマン系の動詞は日本語の動詞に比べ信じられないほど守備範囲が広いことが特徴です。have やget や makeの使われ方をいちいち一対一の日本語訳で置き換えようとするとそれぞれ数十の訳が必要になります。haveは『ある状態を有する』、getは『ある状態になる』、makeは『(がんばって)ある状態に変える』など、動詞の意味をより広い概念でとらえておくべきです。また接頭語や語根など意味を推測させる部分がないのでその意味では単純すぎて習得が難しくなっています。一方ラテン語系の単語は動詞を含め単語の意味の守備範囲が狭いので日本語訳とほぼ一対一で意味が対応するからです。またラテン語系の単語は、接頭辞と語根の組み合わせで単語数を増やしてきた歴史があり、語根が一緒の単語はその基本イメージが一緒なので意味を連想しやすいというメリットがあります。ちょうど漢字と同じように。」

そんな日本人にとって厄介なゲルマン系の動詞の攻略のヒントらしきことも。

「攻略のためには、基本動詞を中心にどの文型なのかを文頭からパッと予想でき、次に続く単語の種類を先回りして予測できる状態を脳が獲得する必要があります。超基本動詞には取りうる文型が一つだけでなく二つも三つもありますが、複数ある文型のどれなのかを瞬時に理解する勘を養いましょう。それにはできるだけ多くの文章を読み、いろんなmakeの使われ方を経験することで文を頭からリアルタイムで日本語に訳さなくても理解できるようになっていきます。文法書や辞書でmakeの使い方を学ぶことは野球でバットの素振りをするようなものです。実際の読書でmakeに接することは、練習試合や本番の試合に例えられます。」

このように説明されると、たかがmakeされどmake、超基本動詞すなわち「しなやか英語」の奥深さに改めて気づかされるというものです。

一方でラテン語系においても厄介な部分がないわけでは、、、

「語源で馴染みにくいのが『語根』です。いわば漢字の偏に相当しますが、漢字の偏とは以下の点で異なります。①漢字の偏は自然の風物(木、山、月)や体の部分(目、口、耳)を意味する。②英語の語根は動作を表す。例えば『立つ』『座る』『見る』『聞く』『行く』『来る』など。③英語の語根は微妙にスペルが変化する。例えば、これは、stand(立つ) constant (しっかりという接頭辞conがついてしっかり立つのイメージ)destiny (下にという接頭辞deがついて運命の下に立つイメージ)contrast (反対の接頭辞contraがついて対置のイメージ)という具合にもともとラテン語の『stare(立つ)』が変形して『sta』『sti』『st』などの綴で単語に隠れているのです。ちなみに発音の際は多くの場合、語根の部分にアクセントが来ます。」

確かに、日本人にとって扱いやすいラテン語系とは言え、これはなかなか難しいですね。

それでも、今まで何冊も「語源」に関する書籍は紹介してきましたが、このように指摘されているのは本書が初めてで非常に良い気づきになりました。

 

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