日本人と英語

やさしい日本語のススメ

2020年1月10日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「わたしたちの英語」から、いくつかテーマをいただいて書いていますが、第三回のテーマは「日本語をシンプルにする必要性」です。

前回の記事では、日本人がいかに日本語を外国人から遠ざけ、敢えて自分たちだけの「閉鎖的」な代物にしてしまっているという指摘をしました。

今回は、ではその日本語をどうしたら「開かれた言語(開放型言語)」にできるのかについての本書の主張を取り上げたいと思います。

例によって、以下に指摘部分を引用します。

「1995年の阪神淡路大震災がきっかけに『やさしい日本語』で生活情報を伝える活動が広がっています。この震災では、多くの外国人が災害情報から取り残され、その死亡率は日本人の約2倍、負傷率は2.4倍だったそうです。この『やさしい日本語』運動は、弘前大学の佐藤教授の研究グループが災害時にやさしい日本語が在留外国人の命を救えるのではないかという考えから推進してきました。『高台に避難しなさい』ではなく『高いところに逃げて』と伝えるほうが効果的です。やさしい日本語の基本ルールとして、(1)主語と述語を明確に対応させる(2)二重否定は用いない(3)受身や敬語、方言は使わない(4)漢字にルビを振る、などがあります。『敬語を使わないで』と聞いてなるほどと思います。例えば、普段でも外国人に『いつ日本にいらっしゃいましたか』を『いつ日本に来ましたか』と言い換えるほうが間違いなく伝わるうえに、実は親切でもあるからです。私たちが当たり前に使っている日本語を見直すことも必要かもしれません。」

このことの意味合いを、海外留学の経験のある人は骨身にしみて感じているはずです。

というのも、私たちは海外留学したてのまだ英語が不自由なとき、自分が言いたいことを頭の中に日本語で浮かべます。

例えば、本書の例を借りれば、「避難所に逃げましょう。」と頭に浮かんだ時、上記の考え方が身についてない人は、必ず「え~と、避難所、避難所、英語ではなんというのかな」となって、モジモジする時間を経験せざるを得ません。

辞書で調べれば簡単ですが、「evacuation area」という語彙がすぐに出てくる人は少ないでしょう。

その時に、その語彙がすぐに思いつかなければ、その検索をやめて、すぐさま「みんなが逃げてあつまるところ」という「避難所」の本質は何かをつかみ、「a place where everybody goes in an emergency」と言えるかどうかが重要ということになります。

この言い換えが自然体でできるかどうかが、実は英語、日本語、それぞれの言語によるコミュニケーション力を超えた、コミュニケーション力があるということなのだと思います。

このような運動が広がっていることは、日本のグローバル化に非常にいい影響を与えると思います。

そして、多くの日本人が外国人に対して「やさしい日本語」を使うことによって、言葉がもつ本質的意味を日本人がつかむことができるようになり、日本語がより使い勝手の良い言語になっていくはずです。

ここがまさに、第一回目の記事で書いた「あの米国人の英語が一番分からないね」という発言が意味することなのだと思います。

 

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