日本人と英語

カムカム・クラブバッジ

2021年12月15日 CATEGORY - 日本人と英語

以前にご紹介した「カムカムエヴリバディ」からテーマをいただいて書いていますが、第二回目のテーマは「英語を話す機会の創出」についてです。

本書を読むと、戦時中ずっと抑圧されていた欧米文化へのあこがれが一気に解放された当時の日本の英語学習熱が非常に鮮明に生々しく使わってきます。

ただそんな時代にも現代の私たちにも共通するような英語に対する日本人独特の感覚が書かれていました。

それは、英語を話すことで「キザ」にみられることへの恐れやネイティブに似せた発音をすることへの「恥じらい」という感覚です。

「英語を話したい」「英語を話せたらかっこいい」という確かな憧れがある一方で、まったく相反するような感情も併せ持つという日本人独特の感覚がこんな時代からあったという証拠を発見したことは非常に興味深いものでした。

そして、本書には平川氏がこのマイナスの感情への非常に効果的な対処法を編み出し、それを実践したということについても書かれています。

以下、その部分を引用します。

「全国に何百万人という受講者の皆さんがいるのに、今までのところはみんな別々で会話の練習をするのにも、相手がおらず、だるまさんや子猫を相手の練習で、なんとなく物足りない、寂しい感じをどうすることもできませんでした。それで考え付いたのが、今度の大計画なんです。これによって、全国の仲良しがどこへ行っても、すぐ、ニコニコと手を握って、打ち解けたお友達になり、英語の練習もできるようになったら、どんなに素晴らしいでしょう。そこで、その目印に、皆さんの胸に、美しいカムカムの記章をつけていただくことにしました。この記章のことは、英語でbadgeと言いますよ。この金色のバッジが胸に輝いている人は誰でもみんな、カムカムの仲良しなんですから、どこで会っても、すぐにニコニコと話掛けられて、生きた英語の愉しいお遊びができるし、また日本中どこへ旅行しても、必ずお友達に出会うことができるなんて、思っただけでも、今から嬉しい様な気がいたしますね。それに、このバッジをつけていれば、進駐軍の兵隊さんたちからも話しかけられる機会もきっと多くなると思われます。そうして少しでも多く、英語を使う機会ができれば、皆さんの英語がそれだけ、実質的な進歩をひとりでに見せてくれるようになるでしょう。」

つまり、平川氏はこのカムカムクラブバッジをつけている人を街で見かけたら英語で話しかけていいという仕組みを作ったということなんです。

こんな話を聴いているとなんだか時空を超えて現代の自分までワクワクしてしまいます。

平川氏は単なる英語講師ではなく、アイデアマン、いやもっと言えば日本人に「使える英語」の楽しさを知らせるための伝道師であろうとした覚悟がしみじみ伝わってきます。

 

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