日本人と英語

中国の「英語教育」の事例

2018年6月20日 CATEGORY - 日本人と英語

前回に引き続き「その『英語』が子どもをダメにする」からテーマをいただきますが、今回は日本よりも早く小学校英語を導入した中国の事例について見てみたいと思います。

中国では2001年から小学校3年生からの英語教育が実施されてきました。その背景には、2001年にWTOの加盟や北京オリンピックが決まったことがあります。

しかも、その実施の仕方も極端なものでした。日本では中学校卒業時点で1200語を求められるのに対し、中国では小学校卒業時に1600語を求められました。

それを可能にするために小学3・4年生に英語の20分授業を週4回、5・6年生には20分授業を週2回と40分授業を週2回、そして中学生以上は6年間の間に45分授業を週4回といった具合です。

現実には広い中国全てこのようになったというのは考えづらく、上記の内容はおそらく都市部に限られたとは思われますが、基本的には、これは日本同様中国でも「よいこと」だと受け止められたようでした。

しかしながら、その中国の英語教育事情に変化が見られることが本書で以下のように指摘されています。

「中国では英語重視の教育による弊害で国語力の低下が問題になっており、北京では英語重視の方針を転換し、授業も大学入試も英語の比重を下げ、国語の比重を上げる方針を発表しました。2013年に北京の複数の一流大学が、一部の学科の入試から英語を外したそうです。にもかかわらず、日本は中国や韓国に後れを取っていると言って、逆に小学校英語教育を強化する方向に踏み出そうとしているのです。」

私が驚いたのは、「北京の複数の一流大学が、一部の学科の入試から英語を外した」ということです。

私は常々、英語はアプリで母語での思考力がOSだとお伝えしています。

その考えにのっとれば、優秀な大学であればあるほど、英語の試験の成績で学生を絞るというのは本質を捉えた仕組ではないと思っていました。

アプリなんてものは、しっかりとしたOSさえあれば、それが必要となった時に即座にそのOSを活用してインストールすることで運用が可能になるはずだからです。

そのことは、ランゲッジ・ヴィレッジの「文法講座」と「国内留学」の合わせ技、それから、中国語を全く知らない人を2週間で中国語でコミュニケーションが取れるようにする「中国語超特急」などの講座の存在で明らかにしているつもりです。

ですが、長らく続いてきた大学入試としての英語試験を廃止にするという思い切ったことを大学が実行するのは現実には難しいことだと思っていました。

それを中国の大学がやってのけたということを知り、本質を理解した英断だと高く評価したいと思います。

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