日本人と英語

あまりにも曖昧な日本語の「~の中で」

2022年3月1日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の前置詞使いわけ図鑑」から前置詞の「意外なイメージ」について書いていますが、第八回目のテーマは「among」イメージについてです。

私が自ら主宰する「文法講座」の中での愕然とすることとして、例えば「彼は彼の兄弟の中で最も背が低い。」という日本語の「兄弟の中で」の部分を受講者の皆さんに英語に直してもらおうとしたときに、かなりの確率で「in his brothers」としてしまうことがあります。

すでに書籍紹介ブログの中で見たように、前置詞「in」のイメージは「in:空間(内部)にすっぽり囲まれて。空間は立体的でも平面的でもOK。」であるため、「in his brothers」という表現がどれほどの違和感をもってネイティブスピーカーに受け止められるかと思うとなんともいたたまれなくなります。

しかし、この責任は受講者さんにあるのではなく、日本語が英語と比べて根本的に「あいまいさ」を多く含んだ言語であることにあると思っています。

英語では「in」と「among」は関連性のない全く異なるイメージをもって受け止められるのに、日本語に訳すとどちらも「~の中で」としなければならないわけですから。

以下に本書より前置詞「among」のイメージに関する部分を引用します。

「amongは『同質のものの群れに囲まれて』が語源ですが、空間や範囲などが三者以上の集合体の間にあるのがコアイメージです。amongの後に続く名詞は複数形ですが、the crowd(群衆)やthe audience(聴衆)などの『集合名詞』も続けます。」

このようなイメージを獲得し、日本語と英語の性質の違いを体感的に理解することで、例えば日本語を使用する時にも、among的な表現をする必要がある場合には、「~の中で」ではなく「~の間で」を使用するように心がけることができるようになります。

このような姿勢こそがまさに以前にご紹介した「中間日本語」という概念にもつながっていくのだと思います。