日本人と英語

単語の本質は「指差し」である

2020年2月5日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「赤ちゃんは言葉をどう学ぶのか」からテーマをいただいて議論をしていますが、第四回目のテーマは、「単語の本質」についてです。

私たち大人は相手の注意を何か特定のものに向けさせようとするとき、「指差し」をするのが普通です。

ですが、これが7、8カ月の赤ちゃんには通じないようです。赤ちゃんは、指差した先にあるものを見る代わりに指差している指に注意を向けてしまうからです。

つまり、指はその先にあるものを指し示す道具であるという約束事があってはじめて「指差し」が機能するということをまずは理解しなければなりません。

そして、このことに気づくことが、「単語(名詞)」の存在に気付くことと同じだと著者は言います。

その部分の記述を以下に引用します。

「私たちが単語、例えば物の名前を言う時、私たちはその単語を言う声やその節回しを相手に聞いてほしいわけではありません。話す相手に分かってほしいことは、その単語が指す内容です。目の前にあるものの名前を言ったのであれば、その単語の意味は声を出した私のところにあるのではなく、いま私が目を向けているそこにあります。だからこそ、指差しが分からない赤ちゃんに、指差ししてそのものの名前を言って見せても、赤ちゃんには私たちが何をしているのかが分からないのです。赤ちゃんは、そのことが分かるまでは、自分一人(もしくは、「相手、モノも含む」との二人)の世界の中にのみ存在しています。つまり、赤ちゃんはそれを見て誰かが反応してくれることをまるで期待していないのです。ところが、9カ月くらいになると、『私とあなた』だけの世界と『私とモノ』だけの世界がつながり始めます。その始まりは、赤ちゃんがほかの人に向かってものを差し出す時です。自分は自分でモノと向き合いながら、同時に他の人はどうしているのかを気にし始めるのです。これとほぼ同時に、相手が言った単語の意味を知るために、相手の考えていることに気持ちを向け始めます。相手が考えていることを知るには相手の視線や指差しが手掛かりになります。このようにして、子供の単語の意味の学習は始まるのです。」

赤ちゃんは「指差し」のルールを知ることだけにも、9カ月という時間を費やし、ひたすらずっとジャングルの中をさまよわなければならないのです。

私たちは、自分たちが赤ちゃんであった時、そんな苦労があったことなど全く覚えていません。だからこそ、「赤ちゃんは楽に言葉を覚えられる」などと言う、現実とかけ離れたことを平気で言うことができるのです。(笑)

しかし、このように分析されると、赤ちゃんの時の記憶を追体験することができるような気がします。

そうすることで、私たち大人は外国語を学ぶためのあるべき手法を素直に、そしてありがたく受け入れられるのだと思います。

 

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