日本人と英語

外国語学習の本当の目的

2021年3月12日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにて紹介した「総理通訳の外国語勉強法」からいくつかテーマをいただいて書いていますが、第三回目の今回が最終回です。

最終回のテーマは「外国語学習の真の目的」についてです。

日本の企業が国際取引を行うために社員に求める外国語として「二つ」だけ答えよという質問をした時に返ってくる答えのランキングをつけた時の一位と二位の差が圧倒的なものになるというのは容易に想像できます。

それほど国際共通語としての地位を確立した「英語」の力は強いものだと思います。

ですが、その差は、日本企業が国際取引を行うにあたっての「効果」の差と一致するかと言うとおそらくそうではないと私は想像しています。

この私の想像に説得力を与えてくれるようなことが本書に書かれていたので以下引用します。

「皆さんにはそれぞれ様々な外国語学習の目的があると思いますが、ビジネスパーソンにとっては外国語が外国人との単なるコミュニケーションツールにとどまってはいけません。もちろん、コミュニケーションを取れることは重要ですが、ビジネスパーソンにとって本当の外国語学習の狙いは、相手国の現地語を習得することで、相手国の歴史、文化、価値観に精通し、交渉を有利に進めることでなければならないはずです。」

国際共通語としての「英語」の習得目的とは、著者が言うように「単なるコミュニケーション」にとどまるということを私たちは知った上で、「英語を学ぶ」という選択をしなければなりません。

そうです、国際取引をするビジネスマンにとっての「英語を学ぶ」というのは、最低限のツールを身に着けるということです。

真の目的である「相手国の懐に入って交渉を有利に進める」という目的を認識せずに「英語(だけ)を学ぶ」という姿勢が蔓延していることに著者は警鐘を鳴らしてくれています。

もちろん、これは姿勢のことですので日本人として自分が働く会社が付き合いのある国の言葉をすべてマスターしなければならないということではありません。というかそんなことは無理です。

ですが、例えばこれから取引をする相手方の現地語で自己紹介ができる程度の知識を身に着けることは行きの飛行機の中での時間を使えばできることかもしれません。

交渉自体はもちろん英語であっても、交渉前のあいさつにちょっと長めの自己紹介を現地語でしたのならば、相手に「あなたとあなたの会社そして国に対して強い興味を持っていますよ」という気持ちが通じる可能性は英語だけでやり切ってしまうのに比べて圧倒的に高くなるのは間違いありません。

ちなみに国連では英語、フランス語、スペイン語、中国語、ロシア語、アラビア語の6か国語が公用語として定められています。

それらが国連の公用語ということは、これらのいずれかの言語で話せば、同時通訳がその他の公用語に同時通訳してくれるということを意味します。

ならば、もし日本の国連大使がそのスピーチを伝えたい国がそのいずれかの国である場合、もっとも効果的なメッセージ伝達法はその国の言語でスピーチすることであるような気がします。

英語が国際共通語だから何でもかんでも英語でスピーチすることは、「効率的」かもしれませんが、「効果的」ではないと思います。

となると、「外国語学習の真の目的」は、「グローバル的」な視点ではなく「国際的」な視点で捉えなおすべきではないでしょうか。

 

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