日本人と英語

大人の英語を話さない技術

2016年5月29日 CATEGORY - 日本人と英語

子供と英語

 

 

 

 

 

 

 

 

先日、クリス岡崎氏の「30分で英語が話せる」を書籍紹介ブログにてご紹介しました。

この本は、その前に紹介した「なんでも英語で言えちゃう本」という青木ゆか氏の本の中で参照されていたものなのです。

この青木氏の本にて提案されていた「言い換え」という手法については、前回の記事において解説しましたが、ここで少しだけおさらいします。

「言い換え」とは、対象とする言葉のイメージを把握して、それに最も近い言葉で自分が持っている単語を使って即座に出す方法のことです。

その記事の中で私は、このような考え方は、日本人が「英語を話せない」理由を排除しようとする素晴らしいものだと書きました。

今回の岡崎氏の本において紹介されていた手法は、「手持ちの英語レベルで収める方法」という言ってみれば、自分がそれしか語彙がない子供になったことを前提に言葉を選ぶというものですから、青木氏の提案する「言い換え」と考えはほとんど同じだと思います。

そもそも、青木氏が岡崎氏の本書を参照しているわけですから、二つの考えが近いというのは当然ですが、岡崎氏のこの手法を考えることでより、これらの考え方の合理性がよりはっきり見えてくるような気がします。

本書で岡崎氏は、次のような実験を披露しています。

AさんとBさんのうち、Aさんにスクリーンに映し出された何らかの形をした図形の特徴をBさんに英語で伝え、Bさんはその指示に従って絵を描くように指示を出した場合、ほとんど失敗する。

彼は、この現象を次のように分析しています。

「Aさんはまず、スクリーンに映し出されている図形の特徴を5000語の日本語で考えただろう。当然だね、Aさんは日本語が母国語なんだから。その上で、5000語の日本語で考えた文章を、そのまま正確に英語に訳して伝えなければいけないと思いこんでしまったんだ。けれど、Aさんには英語の語彙が700語しかないんだからその考えた文章を訳すことはできない。その結果、Bさんに正確に伝えることができなかったんだ。」

それならば、どうすればAさんはBさんに伝えることができたのでしょう?

それは、Aさんが知っている700語という範囲で伝えようとするイメージを英語に変換すれば良かったのではということです。

このことは、多くの日本人は700語しか知らないという現時点での自分の語彙レベルを通り越して初めから5000語を話せるネイティブの大人になろうとしてしまうから英語が話せないということに気づかせてくれました。

そして、もしかしたら、私がいつも言っている母国語を習得してしまっている大人が外国語を「赤ちゃんのように習得することは不可能だ」という「真理」に対抗できる可能性のある「事実」ではないかと思いました。

つまり、完全に母国語の支配を排除することは不可能だとしても、「意識の力」で、学習のプロセスの中で疑似的に自分自身を赤ちゃんの状態に近づけながら学習をすることはできるのではないかということです。

分析的に学習できるという大人としての有利な点と生活上、重要度の高い順に学習できるという赤ちゃんの有利な点とを「意識の力」で融合することは大人だからできることです。

完全には不可能でも、最大限にその効果を高めるべく努力することはやってみないてはないかもしれません。。

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