日本人と英語

小学校英語は「役立たない」?

2017年7月3日 CATEGORY - 日本人と英語

今まで、本ブログにて何度も「小学校英語」導入に関して批判的にな記事を書いてきました。

この件についてのブログは こちら にまとめてありますので是非ご参照ください。

しかし、世の中のグローバル意識の高まりから、この教育政策に対する一般の「ウケ」はすこぶるいいという現状があり、特に英語をビジネスにするランゲッジ・ヴィレッジが、これに反対することに違和感を覚える方も多かったことかと思います。

ですが、私は「やらないよりやったほうがいい」ではなく、「やらないより、やるとまずくなる」という積極的な反対理由をもって批判をし続けてきました。

実際に「小学校英語」が2011年に正式に導入されて今年で7年目となりますが、今までなかったものを導入したということから、比較対象がなく、実際のところの成果というのが見えずらいという現実がありました。

そんな中で、珍しく先日(2017年6月20日)の日経新聞に「小学校英語は「役立たない」?」というタイトルの記事がその成果に関する状況を以下のように伝えていました。

「小学6年の時には8割の子供が小学校での英語の勉強は中学校で役に立つと思っていたのに、中学1年になると、5割しかそう思っていないとの調査結果をベネッセ教育総合研究所がまとめた。研究所は小中の学習のつながりに課題があるとみている。調査は2016年3月、中1の1170人に実施。このうち、15年3月の小6の時にも同じ調査を受けた約580人の回答を分析した。小6の時に、小学校での英語の勉強が中学校で役に立つと思うか聞いたところ、「とても当てはまる」が50.8%、「まあ当てはまる」が31.8%で、合わせて8割以上が肯定的に答えた。しかし、中1になって役に立っているか聞くと、「とても当てはまる」19.6%、「まあ当てはまる」34.3%で合わせて5割超に減っていた。」

この問題は様々な問題が複合的に絡まっているので、一言でここが悪いと言えない部分があります。

ですが、その中でも最も大きく、そして構造的な問題は、まだ論理的な考え方を日本語ですることに習熟していない段階の小学生に、英語という未知の言語システムを教えるという難しいミッションを、英語を教えるということを前提として教師になっていない小学校教師にさせるということにあります。

すなわち、小学生に対してだからこそ「難しいことを簡単に」説明できる優秀な人をあてがわなければならないのに、素人同然の人間をあてがわざるを得ないために、「難しいことをより難しく」説明せざるを得なくなってしまうわけです。

もちろん、これは現場の小学校の先生が悪いわけではありませんが。

その結果、何が起こるのかといえば、「英語嫌い」の生徒を早い段階で、より多く作ってしまうということです。

この記事においては、小学校で学んだことが中学の英語の理解に「役に立たなかった」という生徒が50%であったということしかわかりません。

しかし、本来論理的思考が出来上がった中学の段階で、英語を一生の仕事にすると決めた人間によって初めて教えられることで、「英語が好き」になっていたであろう人間を、どのくらいの割合で「英語嫌い」にしてしまっているのでしょうか。

私たちが当初から心配していたこのことは、直接的にではないにしても、この記事からうっすら現実化している様子がうかがえて仕方ありません。

 

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