思い込みの力
2019年5月8日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「最強の英語習慣」よりテーマをいただいて、書いて行きたいと思いますが、第一回目のテーマは「思い込みの力」についてです。
書籍紹介でも書きましたが、本書の著者である三浦氏は英語の専門家ではなく、心理学を基礎とした人材育成、コーチングの専門家です。
従いまして、そのアプローチは今までのこのブログで見てきたような言語学的なものとは一線を画しますが、非常に興味深いものでした。
それは、英語学習の前提を確認した上で、英語を学習するということの重要性の確認です。このことについて著者は次のように述べています。
「まずは、あなたが英語というものをどうとらえているか?これが前提です。中学・高校時代、英語の授業や勉強が嫌いで成績が散々だった場合には、そもそも英語をはなから諦めてしまっている人が非常に多い。そして、諦めていると同時に、『(中学・高校の)英語の学習=つまらない』という考えが固まってしまっています。ただ、大きな勘違いは、『(中学・高校の)英語の学習=つまらない』を『英語=つまらない』というところまで拡大してしまっている点です。これは、心理学的に『一般化』と言います。犬にかまれて『その犬=怖い』が『全ての犬=怖い』となるのと同じです。」
そして、次のように続けます。
「そのイメージは、あなたの潜在意識の中に英語に向き合うことにブレーキをかける思い込みが結構な量含まれている可能性があります。ですが、思い込みは、あなたの過去の経験による刷り込みですから、ぎすぎすした家庭に育っていれば、『家族=仲が悪いもの』という思い込みが日々刷り込まれますし、温かい家庭に育っていれば、『家族=仲よく助け合うもの』という思い込みが刷り込まれます。そしてそれは無意識レベルにおいても、あたかも『本当のこと』となるのです。」
つまり、思い込みはいい思い込みも悪い思い込みもどちらも、無意識レベルで「本当のこと」になり、それが潜在意識へのブレーキにもアクセルにもなるということです。
であるとしたら、まず手を付けるべきはこの思い込みで、不必要なブレーキは、私たちの意識次第で無意識に働きかけるアクセルに変えてあげることができるというのが著者の主張です。
このことを最も端的に証明しているのが、「日本人のすべてが日本語を話せるようになる」という事実です。
この「日本人のすべてが日本語を話せるようになる」という事実には、「日本人のすべてが日本語を話せるようになる」という日本人全員の「思い込み」が貢献しているということです。
私としては、言語の専門家として、母語と外国語の習得過程の違いというものは明らかに存在しているため、同一レベルで議論はできないと考えていますが、ただ、日本人のすべてが「『英語』を話せるようになる」というプラスの思い込みを持った時のアクセルの力は、確実に強くなるであろうとの感覚は理解できるような気がします。