日本人と英語

消えゆく運命にあるルールたち

2022年4月3日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の新常識」からテーマをいただいて書いていますが、第九回目のテーマはこれから消えてゆくであろう「ルール」についてです。

今まで見てきたものは基本的に「語彙」の変遷についてですが、今回取り上げるのは英語の運用上の「ルール」の変遷ということになります。

以下、本書より5つ取り上げて該当部分を引用します。

まず、一つ目は「簡略化されたつづり」です。

「主に若者によってSNS上で使われるようになりましたが、流れでビジネスメールでも使われることがあります。その特徴としては独特の頭文字やスラング、それに絵文字の使用や母音をスキップしたり大文字を使わずに小文字だけを使った文章作成などがあげられます。例えば、『To be honest(正直に言えば)の意味でTBH』、『todayの意味で2day』『foreverの意味で4ever』『beforeの意味でB4』などがあります。」

これらを見るとぎょっとするような感じもしますが、私世代でも企業間取引の意味で「B2B(Business to Business)」や消費者向け事業の意味で「B2C(Business to Customer)」などはビジネスメールの中でも自然に使っていることを思い出しました。

そのことを考えれば、これらの「奇妙な」略語も実際に使用されて、使用者同士が理解できるようになるにしたがってその「奇妙さ」も消えていくのだと理解することができます。

次に二つ目の「(大文字の)Iの小文字化」です。

「一般的に現代の若者たちは大文字を使わない傾向にあります。『将来、大文字は使われなくなるだろう』と予言している言語学者もいるくらいです。特に一人称単数主格のIをiと小文字で表記するのに、違和感を持つ人もいるかもしれません。ただ、世界の言語のうち自分のことをIと大文字で表すのは英語くらいです。そのことを『不遜』と感じる人もいますし、大文字にするためにはPCのキーを1つ余分に押さなければならないので、それが面倒だということもあるとも言われます。」

続いて、三つ目の「ピリオド」です。

「終止符であるピリオドですが、最近はオンライン上の文章において文の区切りはこのピリオドは使わずに改行することで表すようになっています。逆にピリオドを使った文は過度に独断的だったり、とげとげしい響きに感じられてしまうというのです。I don’t want to go.と書くとI have no more to say.あるいはThis is the end of the conversation.という強い意志があるように受け取られてしまいます。もちろん目上の人や上司とのコミュニケーションにおいては、ピリオドを使うのですが友人同士のカジュアルなやり取りにおいて、かしこまった文法や文体は相手を不快にさせる可能性があります。」

四つ目は「アポストロフィー」です。

「所有格や省略などを表すアポストロフィーもやがて姿を消す運命にあるかもしれません。『婦人服』は本来ladies’ wearなのですが省略してladieswearと1語で綴ります。同様にmenswaer, womenswearと書くようになってきて、辞書にもそのような項目が収録されています。有名なデパートのHarrodsやSelfridgesももともとはHarrod’sやSelfridge’sとしてあったのだそうです。」

最後に五つ目は、逆に最近使用頻度が増加しているもののご紹介です。

「一方で若者がよく使うようになっているのは、驚きや強調を表すためのexclamation mark(!)、疑問のquestion mark(?)そしてandの意味を表す(&)などです。ちなみに『!』はラテン語で『喜び』を表す間投詞『io』の2字を縦に重ねた合字であるとされますし、『?』はラテン語のクエスチョンを表す『questio』の最初のqと最後のoを重ねたものと言われます。また、『&』はラテン語の『et』のEとtを合成したものです。」

「B2B」や「B2C」のように使い初めには確かに「奇妙さ」を感じられるものですが、次第に慣れていき、最終的には重宝するようになることは私たち自身の経験で明らかになっています。

言語はそもそも「道具」である以上、このような変遷は受け入れられてしかるべきものなのだと思います。

 

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