英語は「つながり」の文化
2021年10月17日 CATEGORY - 日本人と英語
書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の思考法」からテーマをいただいて書いていますが、第四回目のテーマは「つながり」です。
前回まで「英語の思考法」を理解するために重要な要素として「個」の尊重というキーワードについて詳しく見てきましたが、今回はそれに次ぐ二つ目の要素として「つながり」というキーワードを取り上げます。
ここでこの二つのキーワードを並べたことに違和感を感じられた方も多いかと思います。
そうなんです。
「個」と「つながり」という二つのキーワードはそもそも相対立する「矛盾」した意味を持っています。
ですが、実は私は本書でこの二つのキーワードを提示されるまでもなく、ずっとこの「違和感」を感じてきました。
それは、欧米人が「Good morning」や「Hello」と言った挨拶の後に毎回必ず「How are you?」と聞いてくることです。
私はそのたびに「ウザい」と思ってしまいます。
また、日本でもハードロックカフェなどの欧米資本のレストランなどでお客さんの中に誕生日の人がいた場合に、電気を暗くしてハッピーバースデーの歌を歌いながら他のお客さんを巻き込んでの「お祝い」をすることがあることです。
私はそこでも「ウザい」と思ってしまいます。(性格が悪いのかな?)
私たち日本人(私だけではないはずだと思っていますので)は、それこそが「個」の尊重に反して、相手の領域にズカズカ入り込むことではないのかと思ってしまい、かなり引いてしまうのです。
このように、「個(独立)」と「つながり」は一見して相反するように私たちには思えてしまうのですが、本書では英語の思考におけるこの二つの要素が共存する理由を「英語的な『タテマエ』」だと説明しています。
以下該当部分を引用します。
「欧米の多くの文化では一般にお店に入れば店員が初めてのお客でもHi!などとあいさつしたり、How are you?などとご機嫌伺いの言葉を発するのがふつうである。客もHi!と答えたり、Good!How are you?などと返すのが『礼儀』とされる。このようなコミュニケーションにおいては、一般に英語の方が日本より『つながり』思考なのである。こうした『つながり』思考にはフレンドリーさという形で表れるものもある。英会話のクラスなどで先生が質問に対してYes/Noという答えだけじゃなくて、答えに一言加えよう、と教えたりすることがある。これも同じ英語的な『タテマエ』を表している。Yes/Noだけで情報としては十分でも、なにかそっけないのだ。そっけなくしゃべるのはそれだけその会話に従事する時間が短いということで、逆に長い時間の会話は『つながり』を感じさせるものだ。時間と空間の共有は『つながり』そのものだ。『一言付け加える』とは、時間と空間を付け加えるということである。」
この辺りは、なんというか、そういうもんなのかな~と無理やり納得するしかないようです。
というのも、第三回目のテーマの「お酌」のところで私は、
「『配慮』と言われても、そのことによる『いいこと』が何かを論理的に説明できないものは、どれだけ気持ちを込めてもやはり理解されないのだと思います。」
と、日本人である私も「お酌」についての理解が難しいと書きましたが、残念ながら英語の「(ほとんど意味のない内容の)一言付け加える」というのもやはり論理的な理解が難しいと感じます。
それは日本のお酌も日本的な「タテマエ」であり、欧米の「How are you?」も英語的な『タテマエ』だからだろうとむりやり納得しました。