日本人と英語

英語嫌いにさせないために

2019年3月3日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「子どもの英語にどう向き合うか」からテーマをいただいて議論をしてきましたが、今回が最終回です。

最終回のテーマは、子どもを「英語嫌いにさせない」ためには何が必要かです。

まず、英語学習を小学校から始めることが、学習者が「英語嫌い」になる時期を早めてしまう可能性について考えます。

前回前々回の記事において、英語を「会話力」だけでなく「学習言語力」のレベルで習得するためには、母国語が「学習言語力」のレベルに達していることが重要だということを確認しました。

ですから、英語学習を「早期に開始する」ことには何らメリットが見当たらないということになります。

いやむしろ、日本語での「学習言語力」が身についた中学生から英語を始めたとしても「英語嫌い」となる学生がいるのですから、それが身についていない小学生の段階で英語に触れさせるとなれば、圧倒的に多数の「英語嫌い」の生徒を作り出してしまうのではないのかということを著者は心配されています。

「英語嫌い」にさせないための方法として著者は以下のような提案をされています。

「『英語は日本語と違うから難しいのは当たり前。でも違っているから面白い』と違いを楽しむ方向に目を向けさせる。さらに『英語で人生が決まるわけではない』と安心させ、むしろ好きなことは何かを探し、そこを得意分野にするのも一案です。国語でも算数でも理科でも、なんでも構いません。世界は英語だけではないことを知り、英語とは違う場を持つことで、子どもはずいぶん気持ちが楽になるはずです。」

これはつまり、「英語」という教科との出会いを適切な形で実現させてあげるということだと思います。

私の事例で恐縮ですが、これまで何度もこのブログで登場している私の英語の恩師 K先生によって、私の英語との出会いは本当に適切な形で実現されました。

過去に書いた K先生に関するブログ記事 からその部分を引用します。

「K先生の口癖は『英語はね、通じればいいんだよ~』でした。そして、テストの中で一番重要な部分は「英作文」であるとことあるごとに言っていました。『英作文ができるってことは英語ができるってことなんだよ~』という言葉を今でもはっきり覚えています。そして、一番印象に残っているのが、月に一回発行される『学年便り』の裏に『英訳版』を先生自ら手書きで書いて印刷してくれていたことです。先生のその行動に、英語を『受験のツール』としてだけではなく、『コミュニケーションツール』としても存在するのだという『必然性』と『リアリティ』を感じました。まさに、『英語はね、通じればいいんだよ~』を直に理解したということかもしれません。」

制度として始まってしまった以上、一人でも多くの小学生に、このような英語との素晴らしい出会いを与えてあげられるような小学校英語の運用を期待するしかありません。

 

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