日本人と英語

英語学習の「段取り力」

2015年10月28日 CATEGORY - 日本人と英語

メタ認知        

 

 

 

 

 

 

    またまた、前回に引き続き「『達人』の英語学習法」という本からいただいたテーマについての考察です。 そのテーマは、「段取り力」です。 言語学習に関する「段取り力」、すなわち学習計画の策定と進捗状況の確認に関する方法ですが、学問的には「メタ認知能力」と呼ばれているようです。

ここで、メタ認知能力についての定義を明らかにしておきましょう。

「メタ認知とは、自己の認知活動(知覚、情動、記憶、思考など)を客観的に捉え評価した上で制御することである。「認知を認知する」 (cognition about cognition) 、あるいは「知っていることを知っている」(knowing about knowing) ことを意味する。またそれを行う心理的な能力をメタ認知能力という。 メタ認知は様々な形でみられ、学習や問題解決場面でいつどのような方略を用いるかといった知識や判断も含まれる」

ここでのテーマで重要なのは、上記の定義の最後、「学習や問題解決場面でいつどのような方略を用いるかといった知識や判断」というところだと思います。 本書において著者は、このメタ認知能力が育たなければ具体的な学習法をいくらたくさん知っていたとしても、それらを効果的に使いこなすことができないため、これはまさに英語学習においての肝であると言います。

つまり、「英語の達人」になるためには、ただ行き当たりばったりに英語を学習するのではなく、学習目的の設定が重要だということです。このことについて、著者は以下のように詳述しています。

「目的が定まればその目的へ到達するための道しるべ、つまり目標と指針を掲げることが可能となります。目標と指針が掲げられれば、それにしたがって具体的な計画を立てることが容易になります。また、これらに合わせて進捗状況や達成度が思わしくなければ、目標や計画自体を修正することも可能となってきます。このように計画性という要素は、学習全体を組織するために非常に重要なポイントとなるのです。」

このことに関して、著者は「英語の達人」が様々な学習方法を知っているだけでなく、効果的に使いこなしているまさにその具体例をあげられていますが、その中でも私が印象深かった一つのケースをご紹介します。

「メタ認知の世界では、『定期的』(分散)と『集中的』というそもそも相反した言葉は並び立つことが可能のようです。英語の達人たちの多くは、確かに定期的に(例えば、毎日一定時間ずつ)学習するというような目標を掲げ、具体的な計画を立て、これを実行していきます。しかし、一方で、集中的な学習形態(夏休みの1か月の間、寝ても覚めても英語漬け)も必要であると感じているようです。なお、集中的な学習は、全くの初期の段階よりも少し英語が分かり始めた時期に導入するとよいようです。一方で、定期的な学習は、初期から達人の域に達するまで、まんべんなく利用されているようです。」

この学習方法は、私のランゲッジ・ヴィレッジの運営経験からもその通りの感触を得られています。ランゲッジ・ヴィレッジはまさに、「集中的な学習形態(寝ても覚めても英語漬け)」であるわけです。そして、この環境を最大限に活用できるのが、文法・語彙が一定水準以上ある学習者であるということを公言し、参加までにそのレベルに達していることを強く推奨しているからです。 メタ認知能力があるということは、このような学習方法を意図的に(認知しながら)選択しながら、学習を進めていくことができるということだと思います。そして、英語ができる人は、その他の外国語も、場合によっては他の分野の学習にも長けているというケースをよく目にするのもまさにこのメタ認知能力の賜物なのだということだと思います。  

◆この記事をチェックした方はこれらの記事もチェックしています◆