日本人と英語

AI翻訳の発達と英語の重要性

2019年10月9日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「超高速PDCA英語術」からテーマをいただいて議論をしていますが、第四回目のテーマは「AI翻訳が発達した後の英語の重要性」です。

一般に、AI翻訳が発達すれば、すべての人が外国語を学ぶことなく世界中の人とコミュニケーションをとることができるので、現在のような英語一強のグローバル社会は崩れるのではないかという考えを持っている人も多いかと思います。

しかし、本書においては、それとはまったく異なった考えが根拠とともに示されていたのでご紹介たいと思います。

「翻訳はAIが得意とする領域なのでそう遠くないうちにあらゆる言語が完璧な英語に自動翻訳できるようになるでしょう。つまり、世界中のあらゆる知見が英語のテキストに集約されることになります。すると、今以上に世界の共通言語としての役割が大きくなり、英語を使えない人は有益な情報やノウハウをシェアできず不利な立場になることは間違いありません。また、情報を発信する側も、共通言語である英語を使うことがますます求められるでしょう。」

つまり、これはネットワーク外部性の効果でも説明できると思います。ネットワーク外部性については、以前に一つ記事を書きましたので こちら をご参照ください。

またこうも言っています。

「『AI時代になれば音声通訳もロボットがやってくれるようになるのでは』と期待する人がいますが、あまり現実的ではありません。海外旅行くらいなら、現在市販されているような自動翻訳機でも十分コミュニケーションできるでしょう。しかし、ビジネスシーンでは会議にしろ交渉にしろ『相手が言ったことに即時に対応すること』が求められます。いくら自動翻訳機が進化しても、翻訳するのを待つタイムラグが必ず生じます。その場に英語を話せない人が一人いるだけで、他の人たちは会話を一旦止めてその人が理解するのを待たなくてはいけないのです。ドラえもんの『ほんやくコンニャク』のように、頭で考えたことがそのまま英語の音声で出てくるレベルの道具が開発されたら話は別ですが、そうでない限りは英語を話すスキルが必ず求められるはずです。」

この二つの指摘をまとめますと、このようになると思います。

まずこれからAI翻訳が発達すればするほど、英語に翻訳される世界中の知識が増えていき、それらにアクセスできる英語力はますます重要になっていきます。そして、即興力が必要となるビジネスの現場での英語は、書かれた英語の知識とは異なり、自らの口から発する英語力もますます重要になっていくということです。

それが解消されるには、翻訳の抵抗が全くゼロとなるほどにAIが発達するのを待たなければならないことを考えると、AIの発展を悪いニュースと捉えがちの英会話業界において、著者のこの見方はこの業界にとっては大きな希望になると思います。

 

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