「car」の語源について
2021年12月19日 CATEGORY - 日本人と英語
「まんがでわかる英単語の語源」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目のテーマは「car」の語源についてです。
英語でも日本語でも普段頻繁に使っている言葉ほど、ほとんど意識せずに使っているものです。
ほぼ完全に日本語化してしまっている「カー(car)」もその一つだと思いますが、本書におけるこの単語の語源の話が非常に興味深いものでした。
以下に本書よりこの「カー(car)」の語源についての記述を引用します。
「『car』は『cur』の形に変化したものもたくさんありますが、基本的には『走る』や『流れる』の意味を持つ語根です。元はラテン語のcarraが語源でケルト族が使っていた戦闘用の二輪馬車に由来します。」
、、、何も興味深くもないまったく予想通りの語源ですね。
実は私が興味深いと思ってしまったのは、この「car」の語根を含む「carpenter(大工)」について考えてみた時でした。
というのも、carpenter(大工さん)の本業は家を建てることで、家は「不動産」というくらいですから、決して「走る」や「流れる」ことはないのになぜ「car」を含んでいるのでしょうか?
この疑問に本書は以下のように答えてくれています。
「大工がcarpenterと呼ばれるのは自動車がまだなかったころ荷馬車を作る人がそう呼ばれていたことに由来します。carpenter以外にもcarry (運ぶ)cart (荷馬車やショッピングカート)cargo (貨物)carrier(運送業者)などがあり、みな『走る』や『流れる』に関係します。また、curの形に変化したものとしてはPC画面で走らせるcursor(カーソル)がありますが、ちょっと形を変えたcourseも同じ語源で、『走路』『進路』『水路』などの意味です。」
なるほどと一瞬は思いましたが、それでも私はまだ納得できませんでした。
なぜなら、大工は確かに自動車がない時代に荷馬車も作っていたでしょうが、本業はやはり「家」を作ることだったはずで、なぜ副業の方がクローズアップされるのかということが気になってしまったからです。
我ながらもっともな疑問だとは思いましたが、少し考えた結果、自分なりに消化することができました。
というのも、「carpenter」は日本語ではなく英語の単語だということに気づいたからでした。
木造建築が一般的な日本人にとっては大工さんの本業は「家づくり」ですが、ヨーロッパの家は基本的には「石」や「レンガ」で作られるのが一般的であったため、「家づくり」は「carpenter(大工)」ではなく「masonry(石工やれんが工」の仕事だったと思い至ったのです。
つまり、ヨーロッパの大工さんの本業は荷馬車を作ることだったというわけです。
一人で疑問に思って、自分で納得するというなんとも「勝手」な記事になってしまいましたが、個人的には非常に興味深い内容でした。