日本人と英語

doubtとsuspectの違い

2022年5月24日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の品格」からテーマをいただいて書いていますが、第三回目のテーマは「daubtとsuspect」の違いについてです。

前回の「日本語と英語の『敬意』の表し方の違い」についても見たように、日本語と英語という二つの言語は全く異なる仕組みであり、その違いからそれぞれの話者の思考にも全く異なる影響を与えることになります。

今回は「daubtとsuspect」という二つの動詞を取り上げて、その思考の違いから生じる日本人が英単語をそのまま丸覚えすることに潜む危険について取り上げたいと思います。

① I doubt that it is true.

② I suspect that it is true.

この二つをどちらも「疑う」という日本語の動詞に当てはめて覚えてしまう日本人は非常に多いです。

しかし、上記の二つの文章はほぼ正反対の意味になります。

① I doubt that it is true.は、that節以降の内容が違っていると「(否定的に)疑う」ということであり、② I suspect that it is true.は、that節以降の内容であると「(肯定的に)疑う」ということになります。

つまり、

①(他の人は本当だと思っているかもしれませんが)それは本当ではないと疑います。

②(他の人は本当ではないと思っているかもしれませんが)それは本当だろうと疑います。

このように、全く異なる思考の基礎に立脚している言語同士の単語を一対一で対応させてしまうことは大変危険だと言えます。

また、本書では取り上げられていませんが、これ以外にも自動詞と他動詞への分類の仕方についてもそれぞれの話者の思考の違いの影響が強く表れていますので取り上げます。

それは「驚く」「満足する」という日本語とそれに対する英語の動詞に見られる違いです。

日本語で考えれば、「驚く」「満足する」は自分自身が他者の関与を必要とせず勝手に行うことのできる「自動詞」ということになります。

しかしながら、英語にはそのような「自動詞」は存在しません。

「驚く」は「be surprised」 、「満足する」は「be satisfied」というように、「驚かされた」、「満足させられた」という受け身の形でしか表現できません。

というのも、よくよく考えてみれば、「驚く」というのもそもそも驚かせる(他動詞)人がいなければ人は驚くことはできませんし、「満足する」もそもそも満足させる(他動詞)人がいなければ人は満足できないからです。

その意味で言えば、英語は日本語に比べて「論理」に忠実な思考の基礎に立脚していると言えるでしょう。

 

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