日本人と英語

How dare you! ?の謎

2021年7月22日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英文法の『なぜ』2」からテーマをいただいて書いていますが、第七回目の今回のテーマは「助動詞を使わない一般動詞の疑問形」です。

タイトルにある「How dare you! ?」はスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが自らを世界で最も有名な18歳となるよう決定づけた2018年の国連気候変動会議での発言の中での表現です。

このビデオの彼女の表情からも分かる通り、「How dare you! ?」とは「よくもまあ、ぬけぬけと」といったような意味で、英語圏で子供が親に対して生意気な発言や態度をした時などに親が子供に対して使う表現です。

その様な表現を彼女は国連という「公式の場」で「大人」に対して世界の子供を代表して言い放ちました。

その後、世界の大人たちのすべてが彼女の言う通り「経済よりも環境の保護を最優先するのが大人たちの義務だ」としてこの言葉を真摯に受け止めたわけではありませんでした。

実際、当時のアメリカ大統領トランプ氏との「場外戦」はかなり注目されました。

前置きが少々長くなりましたが、今回の記事では、そもそもdareという動詞は不定詞を目的語にとる「大胆にも~する」という意味の他動詞で、普通は「How do you dare to say so! ?(あなたはどのようにして大胆にもそんなことを言うのか)」という形になるはずのものですが、「How dare you! ?」のような助動詞を使わずに一般動詞をbe動詞のようにそのまま主語の前に持ってくる疑問文をつくる方法も存在することについて考えます。

また、同時に「I mistake not.」のように否定文を作る時にもbe動詞のようにそのまま動詞の後にnotを持ってくる方法についても取り上げたいと思います。

以下、本書での該当部分を引用します。

「これは英語の古い言い方が残ったものです。英語では古くは一般動詞もbe動詞と同様に、疑問文を作るときは主語の前に動詞を移動させ、否定文を作るときは動詞の後にnotをつけていました。助動詞doを使う方法はその後に現れました。(こちらについては以前の記事参照)そして助動詞を使う言い方が現れてからも1700年ごろまでは両方の言い方が使われていました。助動詞の使用の方が一般的になったのは18世紀半ば以降のことです。(一部加筆修正)」

私は自分の主宰する「文法講座」の疑問文・否定文の授業の中で「英語は世界中の言語の中でも極めてシンプルな言語になったのだから疑問文・否定文の作成ルールについてもbe動詞と同じように一般動詞も単純に疑問文では主語の前に動詞を移動し、否定文では動詞の後にnotを置くというシンプルなものにしてくれてたらよかったのだけど、ここだけはちょっとだけ複雑にしているんだよね。」と言って受講生の気持ちに共感する発言をするようにしています。

ただ、この説明を聞くと英語の歴史における大きな「単純化」の流れに対して、この部分だけは「単純」から「複雑」全く逆の流れがあったのだということが分かります。

ただ、以前の記事の記事で説明した通り、そのような逆の流れをとった理由として、「語順の維持」という一つ上の次元での「単純化」を優先するという動機があったことも付け加えておきたいと思います。

 

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