日本人と英語

LET’SとLET USの違い

2021年10月18日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の思考法」からテーマをいただいて書いていますが、第五回目のテーマは「We(一人称複数の人称代名詞)」です。

前回、英語は「個」とともに「つながり」を重視する文化であると学びましたが、「英語の思考」を理解できるかどうかは、「個」と「つながり」という一見矛盾する二つの要素を統合できるかどうかにかかっていると思います。

そのことを理解するために有用な事例として本書は「We(一人称複数の人称代名詞)」をあげています。

そもそも、英語では「I」と「we」という二つの人称代名詞を単に単数形と複数形というくくり以上に、Iを使用したときに「個」を強く意識し、「we」を使用する時には「つながり」を意識することが多いと言います。

例えば、人気バンドのリーダーがバンドのツアーバスへファンが乗り込む際に、「Welcome to my bus.」と言ったり、バンドのメンバーを紹介する時に「My guitarist is,,,」などと言ったら、英語話者たちはなんとなく、「不遜」な感じをうけるようです。

したがって、そこは「Welcome to our bus.」や「Our guitarist is,,,」というように、I/myをWe/ourにすることでメンバー(相手)との「つながり」をメッセージに乗せるという配慮をするのが普通です。

ただし、今回のタイトルにもあるように同じWe/ourであっても、その中に「相手」を含む「つながり」的な「私たち」なのか、相手を含まないどちらかというと「独立」的な「私たち」なのかの区別をつけることがあるようです。

それについて本書では「LET’S」と「LET US」を使って以下のように説明しています。

「LET’SはLET USの短縮形だが、同じではない。そもそもこれに限らずあらゆる表現の短縮形と元の形とでは必ずニュアンスが違うので、常に同じではないのだが、これについては、全く意味も違う。LET’Sの場合は相手を含んだusになり、LET USの場合には相手と対峙し、相手を含まないusになる。Let’s go to the police. と言えば、『一緒に警察に行こう』ということだが、Let us go to the police. と言うと『(あなたは行かないし、つれても行かないが、私たちに)警察に行かせてください』ということになる。英語のこの表現については、二つのusが区別されている。」

つまり、LET’SはもともとusがI だけでなく自分の側にいる他の人との「つながり」を表すだけでなく、話しかけている相手(あなた)さえも巻き込む非常につよい「つながり」をも表現していることになります。

逆を言えば、LET’Sは相手の「独立」の領域に入り込みすぎることになるので、相手との親しさや状況によって、why don’t you go to the police.やHow about going to the police.などあくまでも相手の意向を尋ねる質問形式の誘い方を採用することも検討すべきとも言えます。

このように見てみると、「英語は日本語と違って直接的な言葉だ」などととても言えないような気になってきます。

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