日本人と英語

shameは「恥」かそれとも「残念」か

2022年5月25日 CATEGORY - 日本人と英語

書籍紹介ブログにてご紹介した「英語の品格」からテーマをいただくシリーズは前回で最終回を迎えましたが、今回は「番外編」として、本書の主題である日本語と英語という二つの異なる思考に支配された言語間における違いという観点から、本書には書かれていないけれども私が普段から気になっていた「単語」について考えてみたいと思います。

その単語とは「shame」です。

この単語の一対一の対応訳としては「恥(はじ)」と一般的には記憶され、「Shame on you!(恥を知りなさい!)」などと誰かを非難する言葉として使用されます。

ただ、もう一つ「It’s a shame that you didn’t pass the exam. (あなたが試験に合格できなくて残念だ。)」というように「残念」という一見すると全く異なる意味で使用されることもあります。

この二つの意味の共通点がどうしても見いだせず、今の今までずっと「気持ち悪い状態」が続いていました。

今回は本書に触発され、「日本語と英語という二つの異なる思考」を十分に比較検討することで、なんとかこの「気持ち悪い状態」に終止符を打ちたいと思い「番外編」として取り上げさせていただきました。

そこでまずは、英語における「shame」を手元にある英英辞典で調べてみたところ、それぞれ日本語の「恥」と「残念」に対応するであろう次の二つを見つけました。

①「恥:【U(不可算名詞)】ignominy or disgrace(不名誉もしくは恥辱)」

②「残念:【C(可算名詞)】 an occasion for regret, disappointment.(後悔や落胆を生じさせるような出来事)」

ここでこの二つを分かつポイントは【U(不可算名詞)】か【C(可算名詞)】かというところではないかと気づきました。

前者の不名誉もしくは恥辱というのは「感情」であり数えることができない「不可算名詞」である一方、後者の残念な「出来事」というのは数えることができる「可算名詞」です。

無意識のうちに書き出した前出の二つの英文も確かに「Shame on you!」「It’s a shame that you didn’t pass the exam.」となっていますね。

しかしながら「shame」がこのような「感情」と「出来事」のような形で使い分けをされることは理解できても、「恥」と「残念」が根本的な意味合いとしてどのように関係しているのかという疑問は残ります。

ここは私の個人的な拡大的な解釈にはなりますが、「恥」という感覚も「残念」という感覚も、そのことが「本来あるべき状態から外れているという認識」であることは共通しているという関係性はあると言えるのではないでしょうか。

この個人的な解釈が後になっても「恥ずかしい」ものでないことを祈ります。(笑)

 

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