日本人と英語

SVOOを作る授与動詞以外の他動詞

2025年6月29日 CATEGORY - 日本人と英語

皆さん、こんにちは。

先週大阪で行った「英文法の虎ノ穴」の講座の中で、私としても完全に見落としていた重要なポイントに関して受講者さんから質問を受けました。

それは、SVOOを作ることができる他動詞を「授与動詞」のみとして、その授与動詞の種類としては「give(to)型」「buy(for)型」の二つの種類だけを挙げて済ませてしまっていた中での、「他にはないのですか?」という質問でした。

その質問によって、「Can I ask you a question?」という文を当然ですが知っていながらも、上記のようにSVOOを作ることができる他動詞を「授与動詞」のみとしていたことに私自身が気づかされてしまったということです。

しかも、この「ask」はどう考えても「授け与える」とは無関係の動詞です。

しかも、それ以外にも、「inquire」「beg」「rob」などがあります。

He asked a question of her. → He asked her a question.

He inquired what she wanted of her. → He inquired her what she wanted.

I beg a help of you. → I beg you a help.

He robbed my wallet of me. → He robbed me my wallet.

ちなみに、前置詞「of」はもともと「off」であり、「~から離れて」という意味で「from」に近いものです。(こちらのブログ記事をご参照ください)

では、この「授与動詞」とは全く別物に見えるこれらの動詞がなぜ同じようにSVOOを作る他動詞として存在しているのか、それを分かりやすく説明しなければ、「理屈を何よりも大切にする」ことをモットーとするこの「文法講座」でこの項目を取り上げることができなくなってしまいます。

そこで、受講生さんの課題作成時間の間にネット検索を含めいろいろ調べてみました。

すると、SVOOを作ることができる他動詞として、「授与動詞 to型・for型)」「ask/inquire/beg of 型」「その他(奪う系)の動詞」の三つに分類しているサイトを見つけました。

そして、

「その他(奪う系)の動詞」の例として、「take」「cost」「save」「owe」などがあり、これらには「SVO+副詞句の形は存在しない」という説明もありました。

ただ、私としてはあまり聞いたことはありませんが、次のような文はあり得るような気がします。

take: It takes 1hour for you. → It takes you 1hour.

cost: It cost $100 to you. → It cost you $100.

owe: I owe $100 to you. → I owe you $100.

もっとも、「save」だけはネットでもいろいろ調べましたが例文を見つけることはできませんでした。

これらのサイトを読んで私なりに考えたところ次のようなまとめ方ができるのではないかと思い至りました。

それは、「ask/inquire/beg of 型」と「その他(奪う系)の動詞」の二つのグループに分かれるというよりかは、「ask/inquire/beg 」も言ってみれば誰かから情報を含めた何かを得ようとしているわけで、広い意味で言えばこれも(奪う系)と言えるのではないかということです。

そして、もう少し大きく捉えると、授与動詞の(授け与える)ことも、(奪う系)も、その移動の方向は違っても情報を含めた何かが移動することを表現する動詞としてとらえることができるのではないかということです。

つまり、あえてグループ分けをするのであれば、移動の方向によって分け、もう一つを「授与動詞」に対して「受領動詞」とでも名付けるべきかと。

講義の中でこのような気づきに至った私は、その内容を受講者の皆さんにお伝えし、全員から「納得」をいただきました。

 

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