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「あ」は「い」より大きい!?

2026年4月17日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

今回は、前回の「日本語の秘密」に引き続き、慶應大学の川原教授の著作第二弾「『あ』は「『い』より大きい!?」をご紹介します。

前回では、特に言語学者の川添氏との対談でも「言語学」という大きなくくりの興味深いお話を提供してくれていましたが、本書は川原教授の専門である言語学の一分野である「音声学」に関する本でした。

本書のタイトルの中にある「『あ』は『い』より大きい」の「大きい」は「音量が大きい」ということを意味しているのではなく、「サイズが大きい」という意味をその音の中に含んでいるという意味です。

これは音声学という学問の中の「音象徴」という概念のお話になります。

以下に、この「音象徴」における概念の概要および興味深いエピソードついて本書より引用の上まとめてみます。

アメリカの言語学者 エドワード・サピアによるアメリカ人の高校生500人に対して「ある言語には、テーブルを表す2つの単語【mil】と【mal】が存在します。1つのテーブルは大きく、もう1つのテーブルは小さいのですが、どちらがどちらでしょうか?」という質問をするという実験が行われました。(もちろん、そんな単語はいずれも架空のものです。)

その結果は、多くの人が【mal】の方が大きいテーブルだと答えたというものです。

しかもこれは英語圏で行われたものですが、著者が日本語話者、韓国語話者、中国語話者に対しても同じような実験をしたところ同じような結果が得られたといい、「aはiよりも大きい」という感覚は様々な言語の話者の間で共有されているということが分かったということになります。

また、このことを裏付けるような英語・日本語それぞれにおける具体的な事例があります。

英語では幼児語で∼yという接尾語(発音はi)を単語の最後にくっつけると、「子供向け」とか「かわいい」というニュアンスが加わります。例えば、momはmommy、dadはdaddyがそうです。

日本語では擬態語や擬声語にみられる拗音(ようおん)と呼ばれる小さい「ゃ、ゅ、ょ」が入ると「小さい」というイメージが出ることがあります。例えば、「ちょろちょろ」は少しずつ水が流れる感じ、「ぴょこぴょこ」は小さいものが動いている感じといったところです。ちなみに、拗音のyの音は上記の英語で見たように発音はiに近いと言えます。

*ただし、「big」という思いっきり裏切られるものもあるわけで、これが言語の難しいところではあります。

それではなぜ「aはiよりも大きい」という感覚を私たちが持つのか、その理由については以下のように考えられています。

私たちがaを発音する時は顎が大きく開く一方で、iを発音する時は顎が小さくしか開きません。

つまり、「口の開き」の大小の感覚が、そのままその音の意味としての大小の感覚につながっている可能性があると考えられるようです。

これは、「発音」と「口の開き」の関係で説明されるので、このような感覚が言語の別を超えて共有されているということの非常に有力な説得材料になっていると私も思いました。

本書を読んで、「音声学」は本当に面白い学問だと納得しました。

 

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