あらゆる企業は教育化する
2020年6月10日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
私たち「教育」をビジネスにしている人間には非常に聞こえの良い「リアルビジネス3.0あらゆるビジネスは教育化する」という本を読みました。
と言っても、すべての企業が「塾」のような教育産業化するという意味ではないようです。
本書では、「モノ消費」から「コト消費」への進化を経て、その発展版が「教育化」なのだと言います。
また、「モノ消費」を前提としたビジネスがビジネス1.0だとしたら「コト消費」はビジネス2.0、そして「教育化」をビジネス3.0とも定義しています。
モノが不足していた時代は、当然のことながら、モノをいかに供給するかということを最優先で考えて、それを最も効率的に行える企業が優秀な企業でした。
松下幸之助の家電を水道の水のように安く豊富に提供できるようにするという「水道哲学」が良い例です。
そして、一通りモノが社会にいきわたった時代には、今度はそのモノにサービスを関連させることを最も効率的に行える企業が優秀な企業でした。
これなどは、キャラクターを中心としたストーリーを商品・サービスに関連させるディズニーのような会社でしょうか。
今回ご紹介する「教育化」はそのような「コト消費」の最終形態ともいえるものです。
これは、マズローの欲望5段階説の「生理的欲求」「安全欲求」「帰属欲求」「尊敬欲求」「自己実現欲求」として説明される段階を上がっていき、最終的な「自己実現欲求」を満たすためのアプローチとも考えられるからです。
人間は、「知らないことを知る」という欲求が最も高級な欲求で、その欲求を満たすサービスである「教育」をいかに商品に関連付けて提供できるのかが問われる時代となりつつあるというのが本書の主題です。
様々な事例があげられていましたが、私が最も印象的だったものを一つあげます。
それは「エアークローゼット」というスタイリストの提案サービス付き「洋服宅配レンタル」です。
これは、この会社が業務委託するプロのスタイリストが顧客に似合う服を提案(教えてあげる)しながら、その洋服を郵送で届けるというサービスです。
私は服にほとんど興味がありませんが、それでもこのサービスの絶妙さには理解はできます。特に印象的だったのは以下の点です。
「このサービスを利用する女性に共通する悩みとは、『服を買いに行く時間がない』ということとともに『着る服のデザインやブランドが固定化し、服装がマンネリ化している』というものだ。この悩みに対して、スタイリストは顧客の好みに合わせるだけでなく、『チャレンジアイテム』も届ける。敢えて、顧客が普段気ない様な服を提案し、ファッションで冒険する楽しみに気づいてもらうためだ。」
まさに、「教育化」の真骨頂というべきものだと思います。
顧客自身がいまだ理解していない「自分に似合うであろう新しいスタイル」というわけですから、従来のマーケティングの目的である「顧客のニーズ」をいかにつかむかというというところから明らかにニーズのステージをあげて提案(教えてあげる)することで価値を提供しています。
こうなると、もはや「価格」での競争などとは全く無縁のビジネスを展開できるようになります。
あとは、このような商品と併せて提供する「教育サービス」の提供をいかに継続的に行う仕組みを作るかということが重要になってきます。
本書で紹介されていた事例をまとめると、以下の二つの手法に分類できそうです。
① これによってかかる追加コストを顧客にとって十分納得できるほどに小さくしながら価格に転嫁する。
② 価格に転嫁することなく、既存の広告宣伝費の範囲の中で行うことができる工夫をする。
どちらにしても、そこがビジネスの醍醐味だと言えるような非常に参考になる事例ばかりでした。
とは言え、なんとか2.0という言葉を理解し始めたと思ったら、もう3.0です。本当に目まぐるしく世の中動いてます!