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おかしな日本の企業統治

2020年1月17日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回の「1兆ドルコーチ」の記事において私は以下のような感想を書きました。

「これを読んだとき、企業の大小に限らず、必要なのは責任回避のための大人数で構成される取締役会ではなく、少人数の経営陣と、まさにビルによって行われた彼らに対する『コーチ』の存在ではないかと心から感じました。」

「コーチ」の存在は関係ありませんが、日本の取締役会のガバナンス機能に関連した目の覚めるような日経電子版の記事を見つけましたのでご紹介します。

それは、カルビーの社長を務め、現在はライザップのアドバイザー的な役割を果たされている松本晃氏のインタビュー記事です。

以下に、少し長くなりますが該当部分を引用します。

「僕がカルビーの社長を引き受ける上で出した条件が、コーポレートガバナンスの体制をしっかりと整えさせてほしいということでした。『それができなければ僕はやりません』と言ったんです。その体制を整えるために何をやったか。まずは、株主の代表としての取締役候補の選任です。株主総会で取締役を選任するのは、単なる手続きではないんです。ところが日本では、経営の執行役と取締役会が一体化してしまっている。これはガバナンスの点では明らかにおかしいんです。だから僕は、カルビーで『本来のガバナンスをやります』と念押しし、創業家の了承を得たわけです。その結果、当時の『役員』には、仕事に専念するために執行役員になってもらい、取締役は創業家の方々を含め辞めてもらいました。代わりに社外取締役を大幅に増やしたんです。取締役と執行役では、どちらが偉いと思いますか。会社のかじを取る、ビジネスを進めるという意味では、執行役の方がはるかに偉いんです。取締役は、名前の通り取り締まる役、お目付け役です。場合によっては、会社のやり方に異議を唱え、改めさせる力を発揮するし、株主に対する重い責任も負っていますが、実際に会社を動かすのは執行役なんです。日本では長く、取締役のことを重役と呼んできました。だからサラリーマンは出世して取締役になるのが偉いと勘違いしてしまった。当たり前のことがわからなくなるんだから、不思議ですよね。ただ、取締役を全員社外にすると、会社のことをよく知る人がいなくなってしまいます。だから1人か2人は社内から出してもいいんです。カルビーに入ったとき、僕はスナックのことはまったくわからなかったので、当時の社長にも取締役になってもらいました。結局、社内の取締役は9人から2人に減らし、社外取締役を2人から5人に増やしました。」

ということは、現在の株式会社という制度自体に無理があるということになります。

私が学生時代に会社法を学んだ自分には、会社を代表し業務を執行するには「代表取締役」として代表権を持った取締役でなければできないと学んできました。

しかし、現実的には、この代表取締役が会社を代表し、業務執行をしながら、自らを監督すべき取締役候補を決める権限を持つことでそのリストをそのまま株主総会に上程するのですから、日本の企業のガバナンスなど期待すべくもなかったわけです。

それから20年近くの時間が経ち、最近では新聞などに「代表執行役社長」などという肩書をみて、何だろう?と思うことがありました。

今回、この肩書について調べ、「指名委員会等設置会社制度」というものが、この矛盾に対して法律的な答えを出そうとした結果だったということを学びました。

以下、「指名委員会等設置会社制度」についてまとめます。

「指名委員会等設置会社は、2003 年の商法改正によって『監督と執行の分離』という理念のもとに、①取締役会は、会社法に定める重要事項と中長期の経営の基本方針を決定するだけで、業務執行はせず、②業務執行は執行役に任せるが、執行役の選任・解任権を取締役会で握りその監督をする仕組みとして作られた。執行役が数人いる場合、各執行役の業務分担および指揮命令系統が取締役会によって定められる。また、取締役会によって執行役の中から代表権を行使する代表執行役を選任しなければならない。取締役会の中には、『指名委員会』『報酬委員会』『監査委員会』の3委員会を設置しなければならない。この場合、指名委員会は、会社の取締役を指名する委員会であり、報酬委員会は取締役個々人の報酬を決める委員会であり、監査委員会は会社の監査をする委員会であるが、これら委員会の委員の過半数は社外取締役でなければならないことになる。つまり、会社の取締役は、社外取締役という社外人が決め、取締役の個人別の報酬も社外人が決める。したがって、代表取締役が実質取締役を選び、自らの意のままに経営を行うという従来の取締役会とは異なり、実質的なガバナンスが期待できる仕組みである。」

このように、制度は作られつつありますが、制度は使われなければ意味がありません。

制度が開始されてから17年が経過していますが、残念ながら日本においてこの制度を採用しているのは現在、70社程度しかないようです。

ちなみにそのリストは こちら

ちなみに、カルビーさんは「指名委員会設置会社制度」を現時点で導入されていないので、制度外で上記の仕組みを実質的に機能させているということになります。

経営者と株主がその気になれば、ガバナンス機構は制度外でも機能させることができるということかもしれません。

資本主義を導入して150年もたつのに、この国では、未だに根本的なところであまりにもおかしなことが行われているんですよね。

この国で本質を考えることが当たり前になる教育がなされることを期待します。

 

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