
この矛盾をどう捉えるべきか
2026年6月26日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。
少し前に「授業数を増やしたのに英語力が下がった理由」という記事の中で、2023年に行われた全国の公立・国立・私立の9702校から92万人以上の中学三年生を対象とした「全国学力テスト」の英語の調査結果が、

このような結果だったという事実を取り上げた上で、
「時間とお金をかけ、そして現場を混乱させたうえで結果がマイナスというどう考えても『責任者出てこい!』レベルのショッキングさです。」
という感想を書いたばかりだったのですが、先日(2026年6月18日)の産経新聞の記事で、「中高生の英語力、政府目標達成は半数以上、令和9年度までに6割へ(文科省調査)」というそれとは真逆の結果が報道されていました。
記事の内容を以下に要約引用します。
「中高生の半数以上が、政府が目標とする英語力を上回っていることが18日、文部科学省の英語教育実施状況調査で明らかになった。卒業時点で中学生は英検3級相当、高校生は英検準2級相当以上の英語力を政府は求めている。令和5年に閣議決定した教育振興基本計画では、9年度までに中高生の6割以上がこの水準を超えることを目標に掲げており、達成が視野に入ってきた。文科省の調査によると、7年度時点で中学生の54.6%、高校生の52.4%が政府の目標水準を上回った。高校生では23.9%が英検2級相当にまで達した。調査を開始した平成25年度時点の目標達成率は、中学生が32.2%、高校生が31%だった。文科省担当者は『基本計画を踏まえた英語力の底上げは着実に進展している』と述べた。」
この「矛盾」をどう捉えればいいか、自分自身の体感、信頼できる英語教育関係者との対話などから私なりの考えを述べたいと思います。
結論から申し上げると、私の体感も信頼できる先生の体感も明らかに2023年の「全国学力テスト」の英語の調査結果が実態を反映するものであり、そこから三年がたった今それが今回の文科省の調査結果のように改善されているということは到底考えられず、特に文法力の一層の低下は歴然としています。
では、今回の文科省の調査結果のどこに問題があるのでしょうか。
私は大きく三つの点で問題があると考えます。
一つ目は、KPIが中学で「英検3級相当」で高校が「英検準2級相当」になっておりますが、この「相当」とは、実際に合格している生徒のみならず、教師がそれに「相当」すると評価した生徒を含むという意味であり、かなり客観性に問題があるという点。
二つ目は、英検受験率が以前に比べて大幅に向上している(過去10年で中学生は1.5倍、高校生は1.8倍)ことから、TOEICなどと同様、純粋な英語力とは別のテストの傾向への慣れなどが進んだ結果も反映してしまっている可能性がある点。
三つ目は、今回の文科省の調査の結果が「英検の合格及び合格相当」の割合であるということは、(以前の記事で見たような)英語嫌いに陥って壊滅的な点数の中高生が増加した影響を反映していない一方で、2023年の全国学力テストの結果は「正答率」であるため、上下の格差を如実に反映しているということから比較可能性に問題がある点。
以上、今回の文科省のプレスリリースには非常に意図的なものを感じざるを得ず、また産経新聞においてもそれが読者をミスリードすることがないように、もう少しそのプレスリリースに対して検証するなり、専門家に意見を求めるなどの姿勢が必要だったのではないかと思います。









