
サウイフカイシャニウチハナリタイ
2025年1月22日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
元SMAPの中居正広氏の不祥事の件で、フジテレビのCMから多くの企業が撤退しているというニュースがありました。
この一連の企業の動きは、その問題の根深さと発覚後の会社の代表者の会見における問題解決への主体性のなさの露見という事態からすれば、あまりにも当然の帰結なのですが、しかしそれはあくまでもこの問題の本質を各企業さんがきちんと精査し、自らの主体的な判断からのものであってこそのことで、その大部分の撤退理由の背景には別の判断があるような気がしてなりません。
というのも、この手の問題が生じたときに自社において独自に情報収集した上での冷静な判断ではなく、他社がそうするから、そしてそれの流れに遅れまじとする意図からのことが多いのではないかとどうしてもおもってしまうからです。
少し前のジャニーズ事務所の件も、それまで多くの被害者が挙げた声や裁判での事実認定があったにもかかわらず、マスコミのほとんどが無視を決め込み、スポンサーも広告を取り下げることなく何もなかったようにふるまってきた後、外国のメディアによってその悪質性が一般にも可視化されたことから世論が反対側に傾いたとたん、一斉にジャニー批判、スポンサーの広告撤退というドミノ倒しが始まったことは記憶に新しいものです。
中居氏の一件がジャニー氏と同じ性的不祥事ということもあり、私のみならず世間の多くがものすごい既視感を覚えているのではないでしょうか。
そんな中でほれぼれするような企業の対応がありましたのでここで共有したいと思います。
それは、先日(2024年12月30日)、俳優吉沢亮氏が泥酔して記憶をなくし自宅マンションの隣室に無断で侵入したことで警察の取り調べを受けた事件に関わる「アイリスオーヤマ」のスポンサーとしての対応です。
こちらがアイリスオーヤマ社の広報発表です。
「当社は、吉沢亮さんを起用した広告およびプロモーション活動を今後も継続して実施することを決定いたしました。吉沢亮さんは、アイリスオーヤマのブランドアンバサダーの一人として、卓越した表現力と幅広い支持層を持つ俳優です。これまで多くのお客様に当社の魅力を伝えていただきました。その存在感は、ブランド価値の向上にも大きく貢献していただいております。今回の契約継続は、吉沢亮さんの今後の挑戦を応援し、共に頑張っていきたいという当社の決意を示すものです。今後も『アイデア』を大切にし、生活者の皆様や社会に貢献する商品・サービスをお届けしてまいります。」
ちなみに、吉沢氏のアイリスオーヤマのテレビCMはこんな感じのものです。(この他にいくつもあるCMパターンのうちこれを選んだのに他意はありません。(笑)実際、今回吉沢氏は逮捕されていません。)
ここで確認しておくべきことが三点あると思います。
まず一つ目は、上記の広報の文章にもあるように確実に「その存在感は、ブランド価値の向上にも大きく貢献していただいております」と言えるだけの会社の吉沢氏への評価の高さです。
私自身一視聴者として、アイリスオーヤマの一連の吉沢氏出演のCMに非常に好感をもって受け取っており、まず会社にとってこのような実利が存在することが重要なのは言うまでもありません。
もう一つは、吉沢氏の「不祥事」のがどの程度重大なのかということです。
私は、社会的責任を負う大人であるにもかかわらず、お酒にまつわる粗相に寛容になりがちな日本文化に対して個人的にはとても嫌な感じを持っていますが、それでも今回の吉沢氏の行為が彼の俳優人生を完全に崩壊させるような程度の「不祥事」とは言えないと思います。
しかも、ジャニー氏や(詳細は分かっていませんが)中居氏のようにこの行為が原因で人生が変わってしまった被害者は今回いません。
そして最後は、その行為を反省し、被害者に所属事務所および本人から謝罪をしているという事実です。
この三つを総合的に勘案して今回の「契約継続」を判断されたアイリスオーヤマの対応を少なくとも私は100%支持したいと思います。
しかも、見事なのはこの判断を同じくCMに吉沢さんを起用していたアサヒビールが発覚当日にCMを停止、翌日には契約解除という厳しい対応をした後でこのような対応をしているということです。
(アサヒビールの判断自体は「酒類メーカー」としてその影響力の大きさを自ら精査したうえでのもので十分に合理的なものだと思われます。)
仮に、今後この判断に対する批判が出てきたとしても、会社として堂々とその判断の正当性の表明を貫くことが逆に会社としての考え方を世に知らしめることにもなると確信されているのではないでしょうか。
「そういう会社にうちはなりたい」
と心から思いました。