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そして、アメリカは消える

2026年7月23日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

最近、アメリカという国を「尊敬」や「憧れ」という視線で見ることができる日本人は以前と比べて極端に少なくなったのではないでしょうか。

その傾向は第一次トランプ政権が始まった時からその傾向がみられるようになり、民主党バイデン政権を経て(別の意味でそれは続いていた?)、第二次政権が始まったとたんそれは圧倒的な加速力をもって高まっていきました。

先日、本棚をふと見ていたら今年二月に亡くなられた落合信彦氏の「そして、アメリカは消える」という2016年のアメリカ大統領選の直前に書かれた本が読まれずにひっそりと眠っていたことに気づきました。

そして、第一次トランプ政権が始まる前にこのようなタイトルの本を出版されるノビーのセンスの高さに改めて感動し、この本をここまで積読状態にしておいたことを反省しつつ、すぐさま読み始めることにしました。

ところがです。

本当に久しぶりに落合信彦の文体に触れたこともあってか、私もコンプライアンス全盛の今の世の中に慣れきってしまったこのか、青春時代にあれだけ心動かされた以下のような落合節に対して、読書中あたりの目が気になるようななんとも肩身の狭いような感覚を覚える自分自身に気が付き、世の中も私も変わったな~と思わざるを得なかったのが第一印象でした。

「第二次世界大戦前にアメリカに来た新旧の移民たちの努力でアメリカは世界の大国になったが、それはオバマという大統領によって見事に破壊されてしまった。」

「メルケルは何もしなかった。それどころか難民たちは警察に呼ばれると、『我々はメルケル首相から招待された』という始末。メルケルはそれほどバカにされているのだ。」

このように歯に衣着せぬ直情型の指摘のオンパレードなのですが、その口調のみならず、なぜアメリカがこのタイトルにあるような「劣化」の一途をたどっているのか、その大きな理由をこれまた断定的に指摘されていて、その内容もおそらく落合信彦その人でなければ言えないであろう衝撃的なものとなっていました。

その理由は、一言で言ってしまえば、アメリカに「軍産複合体(military industrial complex)」なるものができてしまったことだと言います。(ということは、トランプに始まったことではないということのようです。)

そもそも第二次世界大戦までは専業で軍需に応える企業体は存在せず、例えば戦時になると政府はフォードなど普段自動車を作っている会社などに協力させ、戦車や爆撃機などの軍用製品を製造していました。

それが、戦後になって専業で軍用製品を作る企業ができ、それらが軍やCIAなど政府機関とも協調するなどし、最終的に政治的・経済的・軍事的な勢力の連合体を形作ることになりました。

彼らの仕事は「戦争」をすることであり、それによって利益を上げることが何よりも重要な存在意義と化します。

その最初の洗礼を受けたのが第34代大統領アイゼンハワーで、革命以後のキューバの政権転覆を目的とするアメリカ兵の派遣を認めるように強力なプレッシャーをかけられた経験から、退任間際に演説の中で次のような言葉(予言)を残しています。

「現在の世界情勢を考えると国家国民を危険に晒すことのないように大規模かつ揺るぎない軍事企業を作らねばならなかった。しかし、この強大な結びつきの影響力は経済的、政治的、精神的にもすべての都市、州議会、そして連邦政府のオフィス内で感じ取られている。この影響力が人々や社会に与えている荷は重い。社会の構造そのものも変わっていく。ゆえに軍産複合体による不当な影響力は排除されねばならない。間違って得た権力がもたらす悲劇の可能性は存在するし、存在し続けるだろう。軍産複合体の影響力が我々の自由や民主主義を危険に晒すことなどあってはならないのだ。」

この演説の直後に就任した第35代大統領ケネディは、この軍産複合体の影響力に抗いました。

そして、ヴェトナム戦争へのアメリカの正規兵の投入の圧力を否定し続けた結果、(ここまで直接的に言っているのは落合信彦しかいないかもしれませんが)軍産複合体は「ケネディを消す」というオプションを実行に移しました。

ケネディの死後に副大統領だったジョンソンが第36代大統領に就任するのですが、ケネディが殺されたのを間近に見た彼は、もはや軍産複合体の影響力に抗うことができずにアメリカの正規兵を数万人単位でヴェトナムに送りはじめ、それが最終的には50万人に膨れ上がり戦況も泥沼化していったことは周知の事実です。

とはいえ、さすがの軍産複合体としても、アメリカ軍が苦戦することはマイナスではないかと考えるのが普通ではないでしょうか?

ですが、朝鮮戦争が終わってからというもの、軍事産業はフラフラになっており、軍産複合体としてはこの金の成る木を逃さないために戦争は長引けば長引くほど良いという思考回路になっていったということのようです。

それでも、ケネディの弟のロバート・ケネディはジョンソン大統領に対して、ヴェトナム戦争終結を強く提言するが受け入れられず、遂に「ヴェトナム戦争終結」を全面に掲げて自ら大統領選挙の民主党予備選へ出馬します。

急遽の出馬にもかかわらず、選挙を圧倒的有利に進め、ジョンソン陣営は動揺することになったのですが、それは軍産複合体も同じです。

(またまたここまで直接的に言っているのは落合信彦しかいないかもしれませんが)彼らはロバート・ケネディ候補の暗殺を決行しました。

この「陰謀論」的に語られるような内容を「ジャーナリスト」という肩書の下でここまで断定的に語ってしまうことに驚いてしまったというのが正直な感想ではあります。

ただ、その後の、湾岸戦争、アフガニスタン紛争、イラク戦争、リビア介入、シリア介入、そして今回のイラン戦争というアメリカの戦争の歴史の中で、例えばイラク戦争では、なぜフセインが大量破壊兵器を保持しているという嘘までついて戦争を始めたのか、また現在のイランへの攻撃においては、なぜここまで理不尽極まりない形で戦争を継続しようとするのか、どの評論家の解説を聞いても全くピンとこなかったものが、上記の説明によって少なくとも一定の納得感を持つことはできました。

何はともあれ、私の人生に大きな影響を与えてくれた著者の遺作を10年間もの積読から救出できたことに万感の思いがこみ上げています。

 

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