アフターコロナの新常識
2023年6月21日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
以前にも書きましたが、私は読売新聞の「人生案内」を毎日欠かさず読むようにしています。
その記事の中で、このコーナーの回答者の性質を私の勝手なタイプ分類ごとにご紹介し、私の個人的な好みを以下のようにお伝えしました。
「この中で、毎日の照合で最も自分の軸にしっくりくるのが二番目の本音からズバリ厳しい意見の出久根達郎(小説家) 眉村卓(SF作家)のお二人です。(現在ではこのお二人に代わって、作家のいしいしんじ氏がこのタイプにおさまってらっしゃいます。)」
一方で、私の軸とは少々異なりますが、バランスのとれた優等生意見の山田昌弘(大学教授)氏の考え方は、そのあまりのバランスの良さによって素直にうなずかざるを得ない回がたびたびあります。
今回は久しぶりに素直にうなずいてしまった回(2023年6月19日)をご紹介します。
◆ 40代の公務員女性
「食事会や飲み会が苦手で、コロナ禍でのこうした会の中止を内心ほっとしていたのにまた会が復活してきて悶々とした気持ちを抱えています。それでも社会人である以上は仕方がないとしてお誘いを受けた会はできるだけ参加していますが、この春、明らかに自分が企画する番が回ってきた際、積み立てたお金を早々と各人に返金してしまいました。このことに対して、清々した気持ちと申し訳ない気持ちが混在しているのですがこのままでよいのでしょうか。」
◆ それに対する山田教授の回答
「このままでよいのではないでしょうか。コロナ禍は今まで当たり前と思われていたことが決してあたりまえでないということに気づくきっかけになったと思います。日本では、会社の飲み会や裏での人脈作りが仕事をうまく回す上で必要だと思われていました。しかしコロナ禍で、飲み会などがなくなっても、仕事は問題なく進むということが多くの人の知るところになりました。もちろん、騒ぐのが好きな人もいますし、仕事仲間のプライベートでの様々な側面がみられるというメリットもあります。だから宴会などは不要とは思いません。しかし、無理して参加するものでもないでしょう。私もお酒が飲めないので宴会などは苦手ですが、あなたと同じように、誘われたら、義理と思えば適度に参加し、理由をつけては適度に断ります。春の出来事も、コロナ禍のせいにすればよいのです。多少の義理を果たしながら、無理しないで心のバランスを保ってください。」
まさに、以前の記事で書いた次のことを体現するような回答でした。
「『人に相談する』ということは、『相談』ではなく『聞いてほしい』だけだということです。その質問者の多くが、現状の『肯定』や『慰め』を求めているという精神的態度ではないかということです。 そもそも、本当の意味でその問題を解決しようと思っている人は、『人に相談する』のではなく、自らその問題を見出し、自ら解決するはずなのです。」
特にこの質問者は質問する前から自ら行動を起こしており、その行動をとったことによっていまのところはマイナスなことは起こっていないようです。そしてなにより、山田教授の言うように、社会全体も「コロナ禍は今まで当たり前と思われていたことが決してあたりまえでないということに気づくきっかけになった」という理解が大方なのですから。
三年にわたって続いたコロナ禍はあまりに多くの爪痕を世界に残しましたが、この点については数少ないポジティブな要素であり、これが回復とともに再び元に戻ってしまわないことを望みます。