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アルファベットの歴史

2021年9月3日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

以前ご紹介した人類の至宝と呼ばれる「銃・病原菌・鉄」よりテーマをいただいて書いていますが、第六回目のテーマは「文字」についてです。

これまで現在の世界の状況が圧倒的にヨーロッパ人に有利な形で作られた決定的な要因が「銃・病原菌・鉄」の三つであるとして、人類の歴史を見てきましたが、この「文字」はこの三つに次ぐ形で彼らを有利にした要素と言えます。

文字には、さまざまな種類があります。

例えば中国語や日本語における漢字は表意文字(兼表音文字)であり、日本語の平仮名やカタカナは音節文字(母音もしくは子音と母音の組み合わせを表す文字)、そして現在ヨーロッパ言語のほとんどで使用されている「アルファベット」は表音文字です。

本書には、この「アルファベットの歴史」に関して詳細説明がありましたので以下に引用します。

まずは、その出自から見てみましょう。

「アルファベットの歴史はエジプトの象形文字にまでさかのぼることができる。象形文字では24個ある子音を表すために24個の記号が使われていた。しかし、エジプト人は単子音を表すアルファベットだけを使うという方法には進まず、二重子音や三重子音を表す記号や表意的な記号などを使用し続けた。この象形文字が表音的なアルファベットに発展しだしたのは紀元前1700年ごろだったが、これを実際に行ったのは、エジプトの象形文字に通じていたセム語族の人々である。」

では、セム語族(インドヨーロッパ語族とウラルアルタイ語族と並ぶ世界三大語族の一つで現存するのはアラビア語ヘブライ語など)の人々は実際にどのような工夫を象形文字に加えたのでしょうか。

「一つ一つの記号に覚えやすい名前が与えられると同時に、それらの文字を暗唱する時の順番が決められたのである。最初は現在のように『エイ・ビー・シー』といった意味のない単音節の名前ではなく、例えば、aeph=雄牛、beth=家、gimel=ラクダという風に頭音がabgなどセム語の発音に呼応し、かつ、日常生活になじみのある単語が数珠つなぎに並べられて使われ始めた。こうすることで発音的、意味的、そして視覚的な属性を持たせることができ非常に記憶しやすいものになった。」

そして、それは次のような経緯で現代のアルファベットへと進化していきました。

「初期のセム語においては、子音に点や線を加えることで母音を表記していたが、母音自体をアルファベットの中に導入しようという試みは、ギリシア人によってなされることとなった。彼らは紀元前8世紀ごろに、セム語族のフェニキア語(現在は消滅)のアルファベット(文字)の中からギリシア語の子音の表記には不要な5文字を取り出し、それらを母音を表すα=アルファ、ε=エプシロン、η=イータ、ι=イオタ、ο=オクミロンとして使い始めた。その後、ローマ人につながったことで現在の多くのヨーロッパ言語で使用されることとなった。」

実はこのエジプト象形文字から始まり、ギリシア人による単純化に至ったアルファベットが言語の音を忠実に、そしてシンプルに表すことができるようになったことは人類と言語において次のような非常に大きな変化をもたらしました。

「歴史上、文字を早い時期に手に入れた社会は文字の曖昧性を減少させ、その使い道や使用者層を拡大する努力を全くしていない。このことこそ、文字の読み書きに対する古代人と現代人の考え方の違いを示すものである。古代の文字は文字の読み書きは文字の専門家だけのものであり一般の人々が文字を使って詩や小話を楽しむことはあり得なかった。ギリシア人によって文字が単純化され音声を忠実に記述できるようになったことによってようやく一般大衆が使えるものとなったのだ。」

このことから、文字が広く受け入れられるためには「明瞭さ」と「単純さ」がいかに重要な要因であるかということがよく分かります。