オリンピックのあるべき姿
2021年3月22日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日(2021年3月20日)、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、海外から訪れる東京オリンピック・パラリンピックの一般観客の受入れ見送りが決定されたというニュースが報道されました。
それによって日本経済が受ける打撃を以下のように報じています。
「観光業界からは悲痛な声が聞かれ、あるホテルの関係者は『五輪の需要を当て込み開業したホテルは多い。業界には死活問題だ』と肩を落とした。外国からの観戦客による国内旅行需要があると見ていた観光業界には打撃となる。旅行大手の広報担当者は『日本の地域の魅力を世界にアピールする機会が失われた』と嘆いた。専用の乗り放題券を準備していた鉄道会社もあったが、当てが外れた格好だ。」
ただ、私はオリンピック招致成功で熱狂していた2013年の時点で以下の二つの疑問を感じていました。
一つは、当時の誘致合戦は最終的に東京とトルコのイスタンブールの一騎打ちとなりましたが、1964年の東京オリンピックによって日本の高度経済成長に弾みがかかって経済大国となり得たことを考えると、オリンピックは発展途上の国家において行うことでその国のインフラ整備のきっかけとするのがあるべき姿ではないのかということ。
そして、もう一つは、オリンピックはたかだか2週間しか開催しないのに「オリンピック需要」を見込んでホテル等様々な施設の建築ラッシュはリスクが大きすぎるのではないかということです。
この二つの疑問を当時私はいろいろな人に投げかけましたが、日本の景気低迷を打破するためには今こそ再び経済発展への「起爆剤」が必要であるし、たった2週間だけだとしても、そこで多くの外国人が入国すれば、「日本の地域の魅力を世界にアピール」でき、その後の国際都市化に弾みがつくためそのチャンスを逃す選択肢はないという意見が大勢を占めていました。
ところが、時間が経ってみると、「先進国」であってすでに整っているはずの施設インフラ、例えば競技場など敢えて建て替えるにあたり、費用が膨大すぎる、予算が足りないなどで設計案も二転三転し、その責任を国、東京、そしてオリンピック委員会で擦り付け合うなどあまりにお粗末な状況をさらしてしまいました。
また、今回の判断をもって、開催したとしても一般外国人観客を入国させないとなれば、2週間という限定期間の中での「日本の地域の魅力を世界にアピール」すら不可能となってしまいました。
しかも、国、東京、そしてオリンピック委員会は責任の擦り付け合いを演じたとしても、結局は税金で処理ということになるでしょうが、民間業者はそうはいきません。
記事内の「五輪の需要を当て込み開業したホテルは多い。業界には死活問題だ」というホテル関係者の発言は、結局は自己責任だとしても何ともやりきれなく響きます。
やはり、オリンピック招致は、お祭り騒ぎで進めるのではなく、その本来あるべき姿を見つつ、判断すべきだったのではないでしょうか。
そして、オリンピックが放映権を含むあまりに大きな利権事業と化してしまったことも問題の根底にはあるはずですので、世界規模でこのそもそも論の議論も今後必要となってくると思います。