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資本主義後に来るべき「コミュニズム」の形

2020年9月30日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回の記事で「人新世の資本論」をご紹介することで資本主義の限界について見ました。

そして、本書ではその限界を乗り越えるための新しい仕組みとは「コミュニズム」であるという主張をされていると書きました。

何の説明もなく唐突に「コミュニズム」と言われても、私を含めて資本主義の中で当たり前に過ごしている人間には、まずは拒絶感が生じるはずだと思います。

そのため、著者の主張する「コミュニズム」の仕組みについてできるだけ丁寧にまとめてみたいと思います。

まず、著者はこの「コミュニズム」という言葉にカッコをつけており、これは私たちが想像するいわゆる共産党独裁の上に成り立つ共産主義とは異なるものだと指摘します。

これはカール・マルクスが資本主義による生産力の拡大を行った後に「共産主義化」を行うべきだとした「資本論」の第一巻を書いた後、死までの間においてその続編を書く代わりに思索に明け暮れた中で書かれた公開されていない資料などから著者が見つけ出したマルクスの考えに基づいたものです。

その思索の中でマルクスは、資本主義による生産力拡大は結果、地球の許容範囲をオーバーしてしまうことが明白であるため、それを避けるべく「エコロジー」の考え方を「資本論」の考えの中に取り入れようとしました。

しかし、その試みの中で、資本主義の延長線上で地球環境の維持は不可能だとして、「資本論」第一巻とは考えの異なる新しい解決方法について考えていたということになります。

というのも、「資本論」第二巻と第三巻は彼の盟友であったエンゲルスが彼のそれまでの考えに基づいてまとめたものであるため、その時点ではマルクスの本意と第二巻と第三巻の内容は異なると著者は考えています。

この「コミュニズム」というものが具体的にどのようなことかということを簡単にまとめることは難しいので、本書の中で紹介されていたカールマルクスが資本主義後の新しい経済システムに対して参考にした古代のゲルマン人の共同体の存在についてご紹介してその雰囲気にだけでも触れていただきたいと思います。

「多くの古代文明が環境破壊によって崩壊したのだが、崩壊の道をたどらずに存続した共同体としてゲルマン民族の『マルク協同体』がある。これは狩猟及び軍事協同体として部族協同体から、定住して農耕を営む共同体へと移行する時期のものである。ここでは、土地を共同で所有し、生産方法にも強い規制をかけていた。土地を共同体の構成員以外に売ることはもちろん、木材、豚、ワインなども共同体の外に出すことも禁じられていた。そのような強い共同体的規制によって、土壌養分の循環は維持され、持続可能な農業が実現していた。そして長期的には地力の上昇さえももたらしていたというのである。共同体的な規制が弱く崩壊した古代文明とは大きく異なる。さらに言えば、土壌から養分を取り去って、収穫した穀物を大都市で販売してもうけを出そうとする資本主義的農業経営とは全く対照的なのである。」

これを前近代的な「貧しい経済」と考え、資本主義が地球を食い尽くすまで行き切ってしまうことが先進的な考えであるとはとても思えません。

著者のおかげで、マルクスが晩年に思索に明け暮れ、「資本論」の続編を自らで書くことができなかった理由がなんとなくわかった気持ちになりました。

それは、「足るを知る仕組みの構築方法」という新しい考え方に気づいてしまったからかもしれません。