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サイゼリヤの頑固なコンセプト

2020年11月6日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

前回から引き続き「逆・タイムマシン経営論」の内容について書いていきます。

第二回目のテーマは「戦略に対する頑固さ」です。

前回は、本書の「歴史を読み返すことによって、それぞれが現在進行形で起こっていたまさにその時に世の中がどのように考え、行動していたかを確認することで物事の本質を浮き彫りにする」という趣旨に基づいて、その最も分かりやすい「悪い事例」を中心にご紹介しました。

今回は、「良い事例」として本書において「サイゼリヤ」を取り上げた部分を引用したいと思います。

「日本において今、『キャッシュレス決済』があおりにあおられています。『同時代の空気』『注目事例』『飛び道具サプライヤー』とトラップ発動のメカニズムは全て揃いました。その中にあって、サイゼリヤは冒頭写真のように現金オンリーにこだわっているように見えます。堀埜社長は次のような真意を明かしています。『キャッシュレスの決済額の3%を払って5%収入が増えれば導入します。つまり、本格導入はキャッシュレスを入れたことによって客が増えるタイミングです。そろそろ近いですよ。うちは究極の後出しじゃんけんをするつもり。というのは手数料とともにハード代がバカにならない。変更に弱い端末を入れてしまうと、後付けできないとかとんでもないことになる。この分野って開発速度がすごい早いんです。今後どうなっていくか見えない時にそのハードに金を使いたくないだけ。』また、同社はUberEatsのようなデリバリーにも手を出していません。なぜならば、自社のコンセプトに合わないからです。サイゼリヤは家族や友人との『日常的かつ健康的な食事』を提供価値とするレストランチェーンです。一人でシーンとした静かなところで食べるのではなく、適度なざわつきのある中で手軽に食べて飲む楽しさを与えられるかがどうかが勝負です。従って、その価値を台無しにしてしまうようなデリバリーには手を出さないのです。」

「戦略が先、施策は後」というビジネスをやるうえでまったくもって当たり前のことを、「同時代の空気」が世の中を覆っている中でも、当たり前のように貫き通すかどうかということです。

上記の指摘から分かることは、事業家がやるべきこととは、自分たちが世の中に提供している商品・サービスの本質が何なのかを確実に自覚した上で、次々に生じる問題の解決及び危機の回避については、提供すべきサービスの本質部分を毀損しない範囲で対策を決定することで対処し、その対策が確実に顧客の満足につながるようにすることだということです。

考えてみれば、いたって当然のことなのですが、この当然の思考を殺してしまうのが「同時代の空気」であり、ほとんどの人間がそこから逃れられないということをタイムマシーンである本書が証明しています。

だからこそ、本書から私たち事業家が学ばなければいけないことは、この罠にはまらないための思考のトレーニングの重要性とそれに基づく強い信念を持つべきだということだと思います。

そのことを当たり前のように貫き通すサイゼリヤさんの考え方に共感を通り越して感動すら覚えざるを得ませんでした。