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シン・二ホン

2021年5月19日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

今回は、前回のブログ記事「ろくでもない近未来を迎え撃つために」の世の中にあふれるアフターコロナ対策本のほとんどが頓珍漢なものであるのに対し、著者をして本書内で「私はこれこそアフターコロナ対策本だと思う」と言わしめた一冊をご紹介します。

それは、安宅和人 慶応大学環境情報学部教授「シン・二ホン AI×データ時代における日本の再生と人財育成」です。

この437ページにわたる分厚い本は、徹頭徹尾現在の日本の現状の至らなさを私たちに鋭く突き付けてきます。

そして、その至らなさは、「指数関数的」に増幅し、世界のトップランナーである米国、そしてこれからトップランナーになっていくであろう中国との差が取り返しのつかないところにまで到達しつつあることを非常に分かりやすい事例をその都度提示しながら明らかにしてくれています。

しかし、だからといって著者は日本の将来を悲観することで私たち日本人を突き放すのではなく、しっかりとした処方箋も提示してくれてもいます。

そして、その処方箋は意外にも人間の本質である「アナログ」に根差したもののように見えます。

例えば、日本がこの負け戦の中から再浮上するためには、「マネジメント」が必要であるとして、その処方箋として、マネジメントの本質をドラッガーの定義を引用しながら以下のように伝えています。

⓪ あるべき姿を見極め、設定する

① いい仕事をする(顧客を生み出す、価値を提供する、低廉に回す、リスクを回避する)

② いい人を採って、いい人を育て、維持する

③ 以上の実現のためにリソースを適切に配分し運用する

このように、大切にすべきマネジメントの定義自体は拍子抜けするほど「アナログ」で、当たり前のことを言っているのですが、この処方箋を適用して戦うべきフィールドが全く異なることを力説しています。

例えば以下のように。

「これまでのゲームでは、とにかくみんなが走る競争で強い人が大切だった。また、個別領域での専門家がとても大切だった。なんでも万遍なくできるスーパーマン的な人が期待されても来た。しかし、このような世界ではカギとなる人材像も本質的に変容する。これからは誰もが目指すことで一番になる人よりも、あまり多くの人が目指さない領域あるいはアイデアで何かを仕掛ける人が、圧倒的に重要になる。こういう世界が欲しい、いやなものは嫌といえる人たちだ。一つの領域の専門家というよりも、ビジョンを描き、複数の領域をつないで形にしていく力を持っている人がはるかに大切になる。」

日本は、すでに前述のように明らかに新しいゲームの世界でトップランナーたちに差をつけられてしまいました。

しかし、江戸時代末期に開国を迫られた時もまた同じように、産業革命の波に乗った世界でトップランナーたちに差をつけられていたのです。

ところが、一旦開国を受け入れ、新しいゲームで闘うと決めた明治の日本人は、途中参加でありながら「指数関数的」に成長することで彼らに追いつくことができました。

つまり、日本人は「⓪あるべき姿を見極め、設定する」ということをゲーム開始当初は間違えを冒しがちであるが、自らでその間違いに気づいてからは、キャッチアップはお手の物だという指摘を著者はしています。

それは、私たち日本人が

①いい仕事をする(顧客を生み出す、価値を提供する、低廉に回す、リスクを回避する)

②いい人を採って、いい人を育て、維持する

③以上の実現のためにリソースを適切に配分し運用する

の三つのマネジメントの本質についてはすでに抑えているからだと思いたい。

そして、現在私たち日本人はまさに「登るべき山」を見定める段階にいるのだと信じたいと思います。

 

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