
スタンフォード式 最高の睡眠
2025年6月2日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日、地元の金融機関の勉強会にて、睡眠研究の世界的権威である筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史教授による「睡眠の謎に挑む~健
私は人生で一度も「徹夜」をしたことがないことを自慢にしているくらいに、睡眠を大切に生きてきた(かつてこのブログでも「睡眠の起源」という本をご紹介しました。)ので、様々なテレビ番組に出演されるなど、精力的に睡眠に関する最新の情報を提供することに取り組まれている教授の講義を直に聞くことができるこの機会を本当に楽しみにしていました。
実際に講義を受講して、今までテレビで明らかにされていない情報を含め、大変興味深い内容を拝聴することができて大満足でした。
ちなみに、先生の講義の中でも最も印象的だったことを一つだけ挙げておきます。
それは、「人それぞれ最適な睡眠時間は個別に決まっている」というもの。
そして、それを導き出すためには、誰にも起こされず、邪魔されず眠れる環境を4晩連続で確保して眠ること。そうすると1日目は多くの人が長時間寝ます。しかしそれは、寝だめをしているわけではなく、本来必要だった睡眠を今まで取っていない分(睡眠負債)を返していることと同義だということでした。
つまり、4日間続けることでほぼ一定に落ち着いた最終日の睡眠時間、それがその人の「最適な睡眠時間」ということになります。
この説明は非常に分かりやすく、また説得力がありましたので、実際に私もそれをやってみると「7時間」という結果となりました。
このように、先生の講義を聴くことで今までブラックボックスだったものが実際の研究によってどんどん明らかにされつつあることを知り、「睡眠」についてより深く学びたいという気持ちを強くしました
そこで、これを機会にその理解をもう一歩進めるため「スタンフォード式 最高の睡眠」という本を読んでみることにしました。
本書によって、上記の柳沢正史教授の講義で明らかにされていた部分を補強してくれているなという部分を二つ挙げておきます。
それは、「人それぞれ最適な睡眠時間は個別に決まっている」ということであるならば、「8時間」という世間一般的には十分だと思われているな睡眠時間であっても、ある人にとっては「足りない」、またある人にとっては「多すぎて無駄」ということがあるという事実です。
つまり、「睡眠時間は遺伝である」という結論に達するということです。(実際に著者であるスタンフォード大学の西野精治教授は2009年に科学雑誌サイエンスで論文を発表されています。)
そして、ほとんどの人は短眠(ショートスリーパー)の遺伝子を持っていないという結論も導かれています。
そしてもう一つは、本来必要だった睡眠を今まで取っていないという「睡眠負債」は、脳にも体にもダメージを与えるという事実。
2002年に行われた米国がん協会の100万人規模の研究で、アメリカ人の平均的な睡眠時間は7.5時間で、6年後追跡調査したところ、死亡率が一番低かったのは、平均値に近い7時間目眠っている人たちで、彼らを基準にすると、それより短時間睡眠の人も、逆に長時間睡眠の人も、「6年後の死亡率が1.3倍高い」という結果が出ていると言います。
この二つの事実を合わせて結論付けるとすれば次のようになるのではないでしょうか。
遺伝的に向かないのに無理やり短時間睡眠をしたり、寝なくてもいいのにたっぷり眠りすぎたり(ただ、これはほとんどの人がロングスリーパーの遺伝子を持っているのであまり心配しなくていいかも)すると、自覚しないままに脳と体にダメージを与えることになってしまうということ。
こちらも、柳沢教授の講義での気づきをさらに補完してくれる良書でした。