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ナフサショックの実態とは

2026年5月10日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

イランのホルムズ海峡封鎖によって「ナフサ」が足りないというニュースが毎日のように流れてきます。

ニュースだけでなく、実際に取引先の社長から、「シンナー」(これはthinner【θínər】で「薄め液」という意味ですが、英語屋として発音注意と言いたいです!)が入らなくって仕事にならなくて困っているという実際の悲鳴も聞くようになってきました。

ところで、この「ナフサ/naphtha【nˈæfθə】(これも発音注意!)」という言葉、正直ここへ来て初めて知りました。

シンナーやプラスティックの原料のことで言うならばいままで「粗製ガソリン」という言葉で耳にしたとしても、「ナフサ」についてはお恥ずかしながら初耳でした。

とはいえ、この「ナフサ」に関するニュースはどうも納得がいきませんでした。

というのも、あらゆる石油製品は原油を精製することで確保することができる(逆に言えば、ガソリンなど特定の石油製品だけが欲しいと思ってもそうはいかない仕組み)と学んでいたので、ガソリンなどは政府による備蓄された石油の放出によって確保されているのに同じ石油製品である「ナフサ」が現在不足しているのはおかしいではないかと思ったからです。

そこでAIにその理由を聞いてみると、「石油化学製品の原料となる『ナフサ』は、国内の精製だけでは不足するため、国内需要の6割程度を製品としてのナフサの輸入に頼っています。」との回答を得、なるほどと一旦は納得していました。

ただ、その後も政府はその製品としてのナフサの確保も含め当面の必要量を確保しているため、不足する心配はないので「買占め」などは控えるようにという会見を何度もしていますが、一向に状況は改善されていないようです。

そんな中で、NEWSPICKSの「ナフサショックを建築業界の不都合な真実と関連させて読み解く」という興味深い記事がアップされていましたので以下に該当部分を要約引用します。

「まず、化学的な大前提として石油は備蓄できるけど粗製ガソリンともいわれるナフサは備蓄できませんので、今回欠品が生じている塗料などの建材はサプライチェーンの中で常に忙しく流れていく製品と言えます。その上で、業界全体で法人個人あわせて建設業許可業者数は約48万、うち66%が資本金1,000万円未満の零細企業や個人事業主です。これはコンビニの8倍以上で、建設業界よりも市場規模が大きい製造業で約30万社ですから、建設会社がいかに数が多いかが分かります。このコンビニより多い現場に塗料などの資材を届けるため建設業界は毛細血管のような独自の商流を作り上げました。その商流において、大手ゼネコンや大手住宅メーカーは直接購入できるので、値上がりはしても欠品は起きにくい。中堅、中小企業も商社経由でまだ調達できる。ところが零細企業や一人親方は2次から4次まである卸などを介さないと仕入れられないのです。出荷量が減ればメーカーは当然、仕入れ量の多い大手を優先します。『大手は大丈夫、零細は深刻』の事態が起きます。メーカーや商社からすれば零細企業に販売した場合に資金を回収できないリスクを考えますので、優先度をつけるのは当然です。なんでそんなに2~4次卸が介在するのと思われるかもしれません。卸の仕事の本質は事実上の倉庫・物流業兼決済代行業です。細かな現場に塗料などを届けるための物流機能と零細企業から資金を回収するのが仕事です。小さな会社は与信が無いので、いくつかの会社を介さないと仕入れられません。そのため同じメーカーの塗料でも大手は100円で仕入れ、零細は120円で仕入れる、みたいな現象が起き『規模が小さいほど原価率が上がる』ことになります。この毛細血管のような商流で、今回のようにメーカーの生産量が減ると各中間業者がバッファとして在庫を積み始め、下流に届く量は2割、3割と目減りしていき、経済学でいう『ブルウィップ効果』が起きます。現場では一部業者による買い占めが起きおり、この細分化された商流の目詰まりが『石油は来ているのに現場に届かない問題』を引き起こしています。コンビニの8倍の数ある建設会社、それも零細企業に現在の情勢下でくまなく建材を届けるのは『無理ゲー』なのです。」

なるほど、実体としては、大手や中規模の建設関連業者にとっては、現在のガソリンと同じように、政府の確保・放出のおかげで基本的に需給のバランスは崩れず入手ができているけれども、自らの信用で商品を確保することができない小規模や零細な業者にとっては、その間に入る中間業者の「少しでも在庫を積んでおかねば」という気持ちがブルウィップ(むち)が波うつように「変動が増幅し、実態と乖離する」ことにつながり、実際には政府が言うように商品自体は存在しているのに入手ができなくなってしまうということのようです。

その上で本記事は次のようにも言っています。

「今回のナフサショックで『小さな規模の会社では仕入れも出来ない』と感じM&Aでより大きな会社の傘下に入ることを検討する建設会社も増えることでしょう。また、『職人は独立して一人前』ではなく『優秀な社長がいる会社に転職する』『自分が経営者に向いていないなら社長一族であっても安易に事業承継しないで大手に売却する』ことが重要ではないでしょうか。」

つまり、中小零細が数多く存在するから全体の効率が悪くなるわけで、プレーヤーを減らして一つ一つのプレーヤーを大きくしていくことを推奨するべきだということです。

私もその方がまともな競争となり、全体として効率的になるはずだと思ったのですが、よく考えてみるとその考えを取るのであれば、昨今話題となっている「ライドシェア」の問題に対するのと真逆の議論になってしまうのではないかという筋が見えてしまいました。

というのも、「安全性の問題から素人の運転はダメだ」というライドシェアへの反対理由は、海外で一度でも利用した経験のある人間には詭弁にしか聞こえないわけですが、構図としては似たようなこの建設業界の再編成が必要だとの議論ではそう聞こえないということです。

それがなぜなのか、それぞれでは筋が通っているように思えるのに、明らかに両者間では真っ向から対立しており、それぞれを自分で口にしながらもよく分からなくなってしまいました。