
ビジネスに必要なスキル(後編)
2024年7月16日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
前回に引き続いて、書籍紹介ブログにてご紹介した「世界基準のビジネス英会話」において解説されているグローバルビジネスで必要な7つの基本戦術のうち、残りの3つについてまとめます。
5. Bogey Approach *bogey【bóugi】:①人を悩ますもの・状況・人 ②ゴルフのボギー
◆戦術概要
「最終的な目的」を達成するために「おとり」を用いる戦術。例えば、「値引き」という「最終的な目的」を引き出すために、「商品の些細な欠点」など実際はそれほど重要ではない項目を「おとり」として提示して、「最終的な目的(値引き)」を実現させるというもの。
例えば、不動産屋との交渉において当該物件を気に入って買いたいと思っているのに、最終的に「値下げ」をさせたいがために、別の物件(家自体はずっと当該物件のほうがいいと思っている)よりも庭が小さいという正直自分にとっては重要ではない「欠点」を持ち出して、ゴネることで「値下げ」を実現させる。
◆対応策
価格交渉で使われることが多い。「最終的な目的」が何で、「おとり」が何なのかをしっかりと把握することが重要。「おとり」については妥協しても、「最終的な目的」は譲らない姿勢で臨むこと。具体的には「おとり」の問題に集中させ、そちらだけを解決することで済ませたり、一度即断を避けて仕切り直すなど、冷静な対処をすること。
◆日本人が使うときのコツ
二つの目的を使い分ける必要があるのでかなり高度な交渉術であることは事実。あまり慣れない段階でこの戦術を使うと、商談が終わってふたを開けてみたら、「最終目的は達成できずに、重要ではない問題のみが達成できていた」なんてことも起こりうるので注意が必要。
上記の不動産の例で言えば、本当は当該物件を気に入っているにもかかわらず、本当は「庭の小ささ」というたいして重要ではない欠点を持ち出したが、相手がそれがBogey Approachであることに気が付いたため「値下げ」に乗らず、そちらの物件を手配するふりをしたりすることで対応されてしまえば、もはや「値下げ」は実現できなくなり、定価で買うしかなくなってしまう。(そもそも別物件を欲しいわけではなかったのだから)
6. The Nibble Approach *nibble【níbl】:①ひとかじりの食べ物 ②魚が餌をつつくこと
◆戦術概要
一般的に交渉においては大きな要求はNoと言われるケースがほとんどだが、少しの譲歩であれば期待できることがある。その心理的な隙間をついて、小さな部分でこちらに有利な条件を飲ませる戦術。
◆対応策
小さな事と思って妥協すると、それが実は全体に関わる場合もあるので注意すべき。交渉がまとまる寸前で持ち出されるケースが多い。したがって、対応策としては、要求された側もnibbleで切り返すことが有効であったりする。
◆日本人が使うときのコツ
「あと一つだけ、、、」など、nibble独特の定型フレーズを身に着けたい。これについては交渉になじみのない日本人にとっても挑戦しやすいと思われる。
と著者は言っていますが、私個人としてはただの「最後のおねだり」に思えて、あまり気が進みませんでした。(笑)
7. BATNA Approach
◆戦術概要
これは、Best Alternative To a Negotiated Agreementの略で、「交渉がうまくいかなかった時の最善策」を意味する。最初から「別の手段」を用意しておく(複数あればなおさらよい)という戦術。
◆対応策
相手が「もっと安くしてくれる仕入先が複数いるんですよ」などとBATNAを仕掛けてきた場合、「でも、○○という性能があるのはうちの製品だけですよね」という価格以外で勝てる自社の特徴を主張できるよう常に切り返すネタを準備しておくべき。
◆日本人が使うときのコツ
事前に準備することが比較的容易な戦術なので、日本人としては挑戦しやすいと思われる。
このように7つの基本戦術を細かく見てみると、これらはあくまでも「ビジネススキル」の問題であり、「言語」の問題とは本来全く無関係であることが明確になってくると思います。
当然のことと言えば当然のことなのですが、改めてこのことを明らかにすることで、「ビジネス英会話なんて存在しない」の真意をご理解いただけるものと思います。