
ビジネスに必要なスキル(前編)
2024年7月16日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
書籍紹介ブログにて「世界基準のビジネス英会話」をご紹介して、ランゲッジ・ヴィレッジが一貫して主張している「ビジネス英会話なんて存在しない」の真意を確認していただきました。
その上で、グローバルビジネスに必要なビジネススキルを身に着けたいのであれば、アメリカのビジネススクールにMBAを取りに行くべきであり、日本の英語教育産業にそれを求めるのは見当違いであることを主張しつつ、ただ、それには圧倒的なお金も時間も能力も必要になるので、そのさわり部分を非常に端的に説明してくれている本書はそのさわり部分を体感してみたいという方にとっては有益である旨、説明しました。
そこで、本書において解説されているグローバルビジネスで必要な7つの基本戦術を今回(前編)と次回(後編)の二回にわたってまとめてみたいと思います。
ただ、本来であれば、書籍紹介ブログで取り上げた書籍からのテーマ詳細は、「日本人と英語ブログ」において書きますが、こちらは前述の通り、英語(言語)がテーマではなく、あくまでもビジネススキルがテーマですので、こちら「代表ブログ」にて書かせていただきます。
1. Good Guy/Bad Guy Approach
◆戦術概要
「いい人役」「悪い人役」の役割を分担し、交渉相手に意図的に揺さぶりをかけて、交渉などを有利に進めようとする戦術。「悪い人役」の威圧に委縮した相手に対して、「いい人役」が救いの手を差し伸べているように見えるが、実は全て計算で、最終的に二人で相手を取り込むことを目的とする戦術。
◆対応策
欧米では古典的交渉術だが、日本人にはあまりなじみがないはず。基本的に打ち合わせや交渉の序盤で「悪い人役」が威圧的な態度で畳みかけてくるので、「仕掛けられた」ことにすぐ気づけるようにしたい。ポイントは、そこで相手に揺さぶられることなく、毅然とした態度を保ち、冷静にこちらの要望を譲らないこと。
◆日本人が使うときのコツ
この戦術は、事前に入念な打ち合わせをするのが必須であり、こういった用意周到な戦術は日本的なビジネス文化とは親和性が高いと思われる。したがって、受身のみならず攻め方としても習得しておいて損はなさそう。
2. Highball/Lowball Approach
◆戦術概要
文字通り、「高めのボール」と「低めのボール」を投げ合う古典的な交渉術で特に価格交渉で頻繁に使われる。売り手は高い価格を、買い手は低い価格を、この相互のやり取りの中で両者納得のポイントを見つけ出す戦術。
◆対応策
日本人にとっては、価格交渉に関しては比較的当たり前の戦術かもしれないが、昇進や入社の待遇交渉などにも応用されるため、このあたりについては意識して身に着ける必要がある。特に重要なのは、常にwalk away price(撤退限度価格)を設定し、いざとなれば不利な契約をまとめるよりは決裂したほうがいいというスタンスで臨む姿勢が重要。
◆日本人が使うときのコツ
日本人は「付き合い」を重視して、最初は赤字覚悟で相手の要望を飲むという判断をしがちだが、相手(欧米人)にはそのような発想はなく、一方的な譲歩になりやすく、日本の感覚で交渉に臨むと大きな損失を出す可能性があることを肝に銘じるべき。
3. Chiken Approach
◆戦術概要
いわゆる「瀬戸際外交」。双方が譲歩せず強硬姿勢を続けるチキンレースの戦術。
◆対応策
チキンレースがヒートアップすると、ときに「脅し」のような発言を浴びせられることもあり、そのようなことに慣れていない場合は委縮してしまう可能性があるが、そこは何とか踏みとどまる努力をすること。両極端の意見を最後まで投げ合い、最終的には解決策を見つけるマインドに慣れることがポイント。
◆日本人が使うときのコツ
最悪の場合、決裂を招くリスキーな戦術であるため、頻繁に使用すると信用を失う可能性がある。そのため、そのような応酬の中でもあくまでも「丁寧な表現」を使いながらつなぎ止め、最終的に乗り切ることを意識すべき。
4. Snow Job Approach
◆戦術概要
Snow Jobとは「口車に乗せること、相手を巧みにだますこと」。典型例としては、うまい営業トークでまくし立てて、相手に商品を買わせる戦術のこと。名前の由来としては、雪で覆い隠して一時的にごまかすというところでしょうか。
その意味で言うと、「戦術」と言っていいのかすら怪しく思えてしまいますが、、、(笑)
◆対応策
Snow Jobかどうかを判断する基準としては、「こちらの質問に正確に答えず、話をすり替え続ける」「専門的で難解な話を続けてくる」など。この場合は、相手の口車に乗らず、冷静に対応すること。そして、こういう時こそ落ち着いて敬語表現で返すことで動揺していないことのアピールとなる。即断は避け、こういう時こそ日本人お得意の「上司に相談する」を活用すべき。
◆日本人が使うときのコツ
日本人としても、欧米人としてもこれを使って何か得られることはほとんどないはず。但し、その分野に自分が詳しくなく、Snow Jobのリスクを回避するために、「自分では判断できない」や「上司に相談する」を活用しすぎると信用を失うかもしれないという意識は必要かも。そのためにも、専門性が高い分野のセールスを受ける時には知識を予めインプットしておくべき。
こうやって見てくると、「ビジネス英会話」なるものが、「言語」のスキルではなく「ビジネス」のスキルであるということが一目瞭然となり、これを「英語屋」である我々に教えてくださいというのが、いかに筋違いのリクエストであるとお分かりいただけると思います。
これらは英語が「言語」として何の不自由もなく使えるようになった後に、あくまでも「ビジネススキル」として身に着けるべき類のものなのです。