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仕事を人生の目的にするな

2024年10月23日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

ソニーをどん底の状況から救った平井一夫元社長の「仕事を人生の目的にするな」を読みました。

平井氏は、もともとソニー本体に入社したのではなく、CBS・ソニーというソニーの子会社に入社した後、ソニーの米国法人の経営を経験して、最終的にソニー本体の社長に就任するという異例中の異例とも言うべき経歴を辿られた方です。

本書は、これから社会人になろうとする若者たちに向けられた、冷静でありながらこれからのビジネス人生に向けて期待と情熱を持つことができる珠玉のアドバイスが詰まった一冊でした。

以下に、いくつかその珠玉のアドバイスを引用してみます。(一部加筆修正)

「仕事とは自分のやりたいことを実現するための『手段』。そして会社とは、自分の働きによって利益に貢献する代わりに報酬を得る『取引相手』です。私自身、会社に入ってから、ソニーの社長をしている時までずっとそういう意識で仕事をしてきました。当時から会社も仕事も好きでしたが、『誰よりも仕事をする』というつもりで、やるべきことをきっちりやったら定時に帰っていました。『あいつは定時に帰る』と陰で言われても気になりませんでした。」

「あなたの人生に起こるほとんどすべてのことがあなたの選択の結果であり、あなたに責任がある。この意識をもって自分で自分をコントロールすることが、後悔のない人生を形作っていくと言っていいでしょう。車を運転していて左折しようと思ったら、横断歩道を人が渡ってきたので、一時停止した。ところがすぐ後ろの車にうるさくクラクションを鳴らされたので発進したら、歩行者に接触してしまった。果たしてこの事故の責任は誰にあるのでしょうか。クラクションを鳴らされたからなどという主張をしても責任の所在は100%あなたです。人生にも同じことが言えると思います。」

「たとえ全体を見渡さなければならないリーダー的立場にあっても、自分が携わる事業や会社の隅々まで把握して、すべてを自ら実行できるほどの理解や経験を会得しきるのは難しいものです。自分自身がすべてを把握していない状態でも、『どこがどれくらい分かっていないのか』が自分で分かっていれば、少なくとも分かっている人に助けを求め質問し、その応答の中で理解を深めることができる。そうすると、自分の弱い分野に関する判断も的を外さずに下すことができます。」

「内に秘めたる本当の自信がある人は、自分が間違えようと、他者が功績を挙げようと、あるいは知らないことや分からないことがあろうとも、己の存在や価値が損なわれるとは感じません。だから、自分の間違いを『素直に認める勇気』を持てるわけです。」

「一番いいのはもちろん『正しい判断をすること』です。では二番目にいいのは何かというと、『間違った判断をすること』、そして一番ダメなのは『判断をしないこと』なのです。」

「楽観的にすぎず悲観的にすぎない『プラス思考』になるためには『自分がコントロールできないもの』『自分が結果に影響できないもの』については思い悩まないようにすることです。問題が起こったら、まず自分が対策をとることで解決できる問題なのかを分析し、答えが『イエス』なら、精一杯必要な対策を講じる。しかし、『ノー』だったら、それ以上その問題について思い悩むのはやめ、頭を切り替えて別のプランに切り替えるのです。」

「好調も不調も永遠に続くのではなくいつかどこかで途切れます。だからこそ備えておくことが重要なのです。好調の時は、うまくいかなくなった時にどうするかを考えておく。不調の時はそのくらいトンネルを抜けたときにどうするかを考えておくということです。それらが途切れた時にようやく考え始めるようでは一手も二手も出遅れてしまいます。」

「私は入社一年目のころ、上司と取引先との間で行ったり来たり、伝えてはダメだしされ、また伝えてはダメだしされというのを何往復する『伝書鳩』のような仕事の仕方をしていました。それを見ていた課長に、『馬鹿野郎!何度聞きに来ているんだ!』とどなられました。この時の私に欠けていたのは、その仕事に対する当事者意識でした。当事者意識があれば必ず、『こうしたらいいかな。確認しよう。』『上司はああ言っていたけど、こういう場合はどうなんだろう聞いてみよう。』といった思考が働くはずです。そんな思考の痕跡が行動に現れるかどうかを、周りは見ているのです。」

私もこの「当事者意識」については社会人にとって非常に重要な要素だと思っていて、このブログでも「当事者意識」「当事者意識の重要性」といった記事を書いていますのでご参照ください。

厳選したつもりが、引用がかなり多くなってしまいましたが、それくらいどのアドバイスも甲乙つけがたい素晴らしいものでした。

本の中とは言え、社会に出る前の段階において、こういう飛び切り優秀で稀有な経験を持つ大人が発する言葉と出会う経験は、その後の人生にどれほどプラスになるだろうかと、知らない間に人生の半分を超えてしまった私も、25年前に戻ったかのようにワクワクする貴重な読書体験をさせていただきました。

 

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