作家とお金
2024年11月5日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
「筆一本で生計を立てる」
まさにクリエイティブな仕事の代表格である「作家」という職業にはものすごく憧れます。
ただ、その憧れの対象であるこの職業は、言い換えれば自分とは遠い存在であるということでもあり、その実態についての知識は全く持ち合わせておりません。
それは私だけではなく多くの人も大方そうではないでしょうか。
そんな「作家」というミステリアスな存在に「お金」という俗的な視点を中心としてその実態に迫るという非常に珍しい本を、自らも作家として活躍されている本田健氏が出版されました。
まず、「作家」と「お金」の直接的な関係性について著者は、「夢の印税生活」などと言われ一般的にイメージされる「作家=お金持ち」という構図はほとんど成立していないと言います。
もちろん、本当に一部の超一流作家ともなれば、お金に余裕を持った生活を送ることができるかもしれませんが、基本的に日本語に限定された商圏でしか本を売ることのできない日本人にとって作家は、全世界を相手にできる英語圏の作家と比べれば、大金持ちになる方法としてはあまりお勧めできる職業ではなさそうです。
実際私も、一冊だけですが「富士山メソッド」という本を出版しておりまして、人生で一度だけ「印税」なるものを手にした経験がありますが、印税は本の売価の10%程度で、私の場合、1300円の本が三千冊で40万円弱の収入でした。
私としては、自分のビジネスを世に広めることにつなげながら、なおかつ収入をいただけたわけで、十分にありがたいことだと思ったわけですが、これを「本業」にして生活していくことは本当に大変なことだろうなと実感しました。
そして、本書の面白い視点をもう一つ挙げるとすると、「作家」のタイプを6つに分類していることでした。
本書にはそれぞれのタイプにどの作家が当たるのか書かれていませんでしたが、これら6つのタイプを端的にまとめ、私の独断と偏見で無理やり当てはめてみたいと思います。
①アーティストタイプ(例:司馬遼太郎)
お金よりも芸術的な満足感を追求し、作家として得た収入を、自分を高めるために使ったり、次の作品やプロジェクトに投資したりします。このタイプは、時に経済的に不安定になりますが、その分、豊かな創作活動を続ける力を持っています。
②破綻タイプ(例:太宰治)
計画性が全くなく、気分の赴くまま、執筆をします。強烈な情熱と独自の世界観を持っています。印税が入ると目先の楽しみや欲望を満たすことに使ってしまい、経済的に困窮することが多いようです。
③打ち上げ花火タイプ(例:麒麟の田村裕)
このタイプは一時的にヒットを飛ばし、大きな収入を得ることがありますが、長続きしないことが多いです。文学賞などを取った後に、スランプに陥ってしまう人がこのタイプのです。せっかく訪れた幸運を上手に使うことができません。少し世の中に出るのが速かったと言えるでしょう。
④ビジネスマンタイプ(例:本田直之 そして、本書の著者 本田健氏もここに分類されるような気がします。一瞬、この二人を混同してしまいました。)
本業が別にあったり、作家という仕事をフルタイムでやっていたとしても、作家という仕事をビジネスとしてとらえます。印税を効率よく運用してビジネスチャンスを見逃しません。彼らは複数の収入源を持ち、経済的な成功を目指して戦略的に動いています。
⑤アルバイトタイプ(例:山口恵以子)
執筆のほかにも本業があったり、仕事を掛け持ちしています。印税はあくまでも一時的な収入と捉え、今の仕事を手放さなかったり、複数の仕事で収入源を確保しています。学校の先生や会社員をやりながらこっそり小説を書いているようなタイプと、会社員をやりながら趣味のようにビジネス書を書くタイプがいます。
⑥会社員タイプ(例:すみません、小説をほとんど読まない私には全く思いつきませんでした。)
彼らは堅実な人生を生きていて、一定数のファンがいるので、作家の収入だけである程度の生活ができるようになっています。金銭感覚もしっかりしていて、リスクを避け、安定した人生を送ることを重視します。職業作家になっても、タイムカードを使って、9時~5時の仕事スタイルを守る人もいます。
次回は、作家にとっての「書斎」について書いてみたいと思います。