
患者が知らない開業医の本音
2025年5月30日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
今回ご紹介する「患者が知らない開業医の本音」は、「医師会の闇」について詳しく見るつもりで読み始めた前回ご紹介の「開業医の正体」が、そのテーマとしては完全に当てが外れたにも関わらず、読み物としては思いのほか面白かったので、その中で紹介されていたのを見てすぐさま反射的に購入してしまったものです。
そして、図らずもテーマとしてはドンピシャの「医師会をめぐる誤解」といったような内容の章立てがありました。
ですので、その章に限定して以下に書きたいと思います。
まず、そもそも「医師会」という組織そのものについての説明です。
「厚生労働省が公表している2020年の医師・歯科医師・薬剤師統計によると、全国の医師数は33万9623人。それに対して日本医師会に加入している医師は約17万人なので、加入率は50%強である。会員のうち半分強は勤務医なので、医師会=開業医というのは誤りである。では逆から見るとどうなるのか。つまり開業医のうちどのくらいの割合で医師会に加入しているのであろうか。2020年の日経メディカルのアンケート調査によれば、約90%が医師会に入っている。これはなかなかすごい組織率だ。」
このことから、医師会=開業医というのは誤りであるが、開業医≒医師会というのは言えるということになりそうです。
そして、この団体が圧力団体として悪名を轟かせていることに対しての著者の考えは以下のようになっています。
「医師会=自民党支持みたいに世間に思われているが、これも完全には正しくない。確かに選挙前になると、『自民党の○○さんを応援してくださいね』という手紙が来る。自民党にとって日本医師会は強力な支援組織である。ただ、千葉死に関して言えば、人本位で推薦候補の応援を決めている。最近の例で言えば、千葉県知事・千葉市長の選挙は、自民系ではない候補を応援した。保守一辺倒ではない。では、圧力団体という言い方は正しいのだろうか。ある業界の応援で議員になった政治家が、その業界のために力を発揮するのは当たり前ではないだろうか。こんなことは自民系であれ、立憲民主系であれ、共産系であれ、当然のことである。では、圧力団体としての実力はどうかと言うと、これが全然大したことがない。僕は開業して16年になるが、診療報酬は実感できるほどには上がっていない。医師会=圧力団体かもしれないが、正確には『弱小圧力団体』ではないだろうか。というのは僕だけの感想かもしれない。」
というのも、実際にはコロナ禍を通じて我々日本国民が見てきた「日本医師会」の姿勢は全くそのようなものではなかったし、その意味で言えば全く反対の事例とも取れそうですが以下のような指摘もありました。
「2022年6月まで日本医師会長だった中川俊男先生は、2期目の選挙に出馬しなかった。一期で会長を追えるのは過去40年前例がないそうである。なぜか。それは中川先生が政権とのパイプが細く、診療報酬改定で医師の人件費のアップがごくわずかに終わったことが原因だという。このため2期目の会長選に指示が集まらなかったそうだ。」
なんだ、なんだ、著者は自分自身の感想を自分自身の医師会へのコミット具合から「弱小圧力団体」と言ってるけれど、今回珍しく診療報酬の改定に失敗しただけであって、今までの歴史をたどれば、それはそれは「超ド級の圧力団体」だったと言っているようなものではないでしょうか。
ということは、著者は「医師会をめぐる誤解」を解こうとされたのかもしれませんが、逆に読者としては「医師会の闇」をしっかり再確認させられてしまったように感じます。
最後にもう少し、医師会そのものについてテクニカルな説明を引用してこの記事を閉めたいと思います。
「医師会に入るためには、千葉市医師会・千葉県医師会・日本医師会の三つすべてに入らなければならない。さらには日本医師連盟にも加入する必要がある。この医師連盟がまさに日本医師会の理念を具現化する政治連盟である。これらの団体に加入するためにはかなり高額な年会費を支払う必要がある。合計で何と年間42万円。ではそのメリットは?一番は情報(例えば医療従事者は優先的にコロナワクチンの接種をしてもらえるがその手順も)。それから国民健康保険である。医師会に加入していると、国保が『医師国保』というものになる。スタッフに関しては支払金額がちょっとだけ安くなり、福利厚生に役立つ。しかし、医師本人は無関係。あと、学校医や当番医を務めることができる。これは患者を集めることに役立つという意見もある。」