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意識の正体

2026年5月31日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

最近、50歳を目前(確実に人生の半分は来てしまったはず)となったせいか、「意識」というものについて興味を持つようになりまして、「意識の正体」という本を読んでみることにしました。

本書の面白い点は、「意識」の正体を探るのが目的でありながら、スタート時点でそれを定義することなく(ただ、「自分が何かを体験しているという主観的な感覚」という一般的に言われている説明は紹介)、その目的へのアプローチを「無意識(=睡眠)」という意識が途切れる瞬間に関する研究結果を確認することで、その輪郭をつかもうとしている点です。

なぜ著者は「意識」を探るのにその正反対の現象である「無意識(特に睡眠)」へのアプローチを選択したのか、偶然にも以前このブログで紹介した「睡眠の起源」という本に紹介されていた「ヒドラの研究」の以下のような観察結果から判断されたと言います。

「ヒドラの研究によって、睡眠が動物のデフォルトモードであることが分かってきた。逆に言えば、覚醒は危険回避や食物確保など必要に迫られたイレギュラーでストレスの多い無理を強いられるステータス、すなわち環境の複雑化に対応するための『戦術的な発明』であったであると言える。」

つまり、その戦術的な発明が最も精緻に行われた結果が、「意識」であり、「意識」を持つ人間は、いわば本来生物の本質的状態である「無意識」よりも「意識」の存在の方が大きくなってしまった存在とも言えそうです。

本来の生物のデフォルトの状態である「無意識(睡眠)」を、イレギュラーの状態である「意識」の方が大きくなってしまった人間の脳において調べることによって見えてくるものがあるだろうということです。

では、睡眠時、特に深い眠りである「ノンレム睡眠」時にはどんなことが行われているのかを見てみます。

「ノンレム睡眠は脳の活動は静かに見えるが、海馬やそれに関連する皮質では、覚醒中の神経活動が再現(リプレイ)されている(記憶の強化を図っている)、海馬から大脳皮質へと記憶の転送もされている。また、ノンレム睡眠は、シナプスの複雑化に対して不要な部分の刈込をすることで神経回路を最適化にも貢献している。」

ここで思い出したのが以前にご紹介した外山滋比古氏の「思考の整理学」で紹介されていた「思考の整理には忘れることが大切だ」でした。

上記の引用で、記憶が「無意識(睡眠時)」に整理され、それが物を考える場所である「大脳皮質」に転送されるということが分かりましたが、では「意識」という「自分が何かを体験しているという主観的な感覚」にどのようにつながっていくのかについては以下のような説明になります。

「私たちは断続的な睡眠によって必ず意識が途切れ途切れになります。しかし不思議なことに、『連続した自分』として生き続けていると感じられており、これこそが『自分が何かを体験しているという主観的な感覚』という意識を作り出しています。私たちは経験した出来事を脳内に『記憶』として保持し、後から筋の通った『物語』として再構成し、日々歴史のように紡がれていく。このように私たちの意識は、『記憶の編集作業』が無意識下(睡眠時)で行われることによって支えられており、睡眠こそが散らばった記憶の断片を『私』という物語へと編み上げる。この物語として再構成することによって時間の連続性を作り出している。たとえ記憶の空白があっても『たぶんこうだったのだろう』と文脈を補完し、自らの経験に一貫したストーリーを与える。この記憶によって実現する物語化の力こそ、『(自己)意識』という感覚の土台なのだ。」

これなどは、以前にご紹介した「人はなぜ物語を求めるのか」に書かれた「物語=思考の整理法」の説明そのものだと言っても過言ではありませんでした。

正直、本書を読み始めた段階では、ここまで「意識」というあまりに抽象的な概念に対して体感的な理解が得られるとは思っていませんでしたが、ここまではっきりと納得ができたのは、すでに「睡眠の起源」「人はなぜ物語を求めるのか」「思考の整理学」といった書籍を読んでいたことで関連する知識の理解が進んでいたことが大きく貢献してくれているはずです。

読書のリレーがうまくつながった快感を得る貴重な体験ができました。

最後に、本書のラストで著者が明らかにした意識の「定義」と「働き」を明らかにして終わります。

「意識とは、『私たちが五感を通じて得られた情報をもとに、脳内で作り上げた世界像と自己の関係性』を理解し管理する機能である。私たちの脳は膨大な感覚情報を処理し、脳内に世界を展開している。その大部分は無意識的に行われ、意識はその結果を物語として受け取る。『私は意識している』という感覚自体が単なる現象の連なりを『私が経験している世界』へと変換し、主観性という人間特有の心的風景を生み出している。」

 

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