失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇
2021年12月1日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
以前にご紹介した「失敗の本質」の続編である「失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇」を読みました。
前作が、日本軍の過去の失敗を例に現在の「組織」に有益な教訓を引き出そうとしたのに対して、日本軍の「リーダー」の失敗と成功を題材に現在のリーダーにとっての有益な教訓を引き出したのが本作です。
その成功に導く「リーダー」とはどのような人物なのか。
そのことを考える際に、圧倒的に有益であると思われる内容が、本書の冒頭に書かれています。
それは、フランス版「失敗の本質」とも言うべき古典的名著「フランス敗れたり」の中で著者アンドレ・モーロワが明らかにした「救済策」です。
彼は、フランスがナチスドイツに対する敗北に至った「失敗の本質」を的確に指摘した上で、祖国フランスを立て直すためのリーダーに必要な要件を次のように挙げています。
①強くなること
②敏捷に行動すること
③世論を指導すること
④国の統一を保つこと
⑤外国の政治の影響から世論を守ること
⑥祖国の統一を攪乱しようとする思想から青年を守ること
⑦治める者は高潔なる生活をすること
⑧汝の本来の思想と生活方法を熱情的に信じること
本書では、これらに対してそれぞれ短い解説をつけてくれているのですが、その中で特に①②③⑦の内容が非常に示唆に富んでおり、今の日本にとって必要なリーダーの要件として大いに賛同できると感じましたので以下に引用したいと思います。
①強くなること
国民は祖国の自由のためにはいつでも死ねるだけの心構えがなければやがてその自由を失うであろう。
②敏捷に行動すること
間に合うように作られたる一万の飛行機は、戦後の五万台に勝る。
③世論を指導すること
指導者は民に行くべき道を示すもので、民に従うものではない。
⑦治める者は高潔なる生活をすること
不徳はいかなるものであれ、敵につけ入る足掛かりを与えるものである。
このコロナ禍はまさに戦場と同じ非常時です。
その最中にあって、日本のリーダーはどうあるべきかを考えない日はなかったと言っても過言ではないのですが、このアンドレ・モーロワの指摘ほどその疑問への回答として的確なものはないと思います。