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支持すれども参加せず

2020年9月18日 CATEGORY - 代表ブログ

皆さん、こんにちは。

本日(2020年9月18日)は、新型コロナウイルスのワクチンを世界各国で共同購入する枠組み「COVAXファシリティー」の正式加入期限でした。

まずは、「COVAXファシリティー」とは何かを簡単にご紹介します。

感染症流行対策イノベーション連合およびWHOが主導するワクチンを共同購入する仕組み。高・中所得国が資金を拠出し、自国用にワクチンを購入する。一方で、途上国には、高・中所得国からの拠出金によりワクチンを供給することを可能にする。目標として2021年末までに承認済ワクチン20億回分を調達・供給することを掲げる。今のところ9件のワクチン候補をポートフォリオに抱えており、その一部は既に最終段階の治験に入っており、年末までにデータが得られる可能性がある。」

ちなみに、日本は9月15日に厚生労働省が参加を表明し、同日、拠出金への予備費の活用が閣議決定されました。

もちろん、参加を決めた日本をはじめとする高・中所得国はこの仕組のみからワクチンの供給を受けるわけではありません。

メディアでも頻繁に報道されるように、世界中の大手製薬会社に対して優先的にワクチンの提供を受ける契約を締結できるような交渉も同時に進めています。

しかし、この新型コロナウィルスの問題は、裕福な国家だけがお金でワクチンを確保し、自国民に摂取するだけで解決できるものではありません。

途上国の人々にもその国々が拠出できる金額に関わらずワクチンの提供を可能にしなければ、世界的な蔓延を食い止めることができないわけで、そのような各国独自のワクチン確保の問題とは別個に世界的な枠組みとして作られたのがこの「COVAXファシリティー」です。

ところが、最終的に世界で最も大きな影響力をもつ二大国であるアメリカと中国が最終的に不参加を決めてしまっています。

アメリカについてはもともとWHOに対して批判的であることからこの仕組みに理解すら示してきませんでしたが、そのアメリカのWHO批判の原因でもあるWHOの中国寄りの姿勢もあって、当初その理念を支持していた中国も、最終期限である9月18日までに参加を表明しませんでした。

アメリカが不参加であれば、中国にとっては絶好の国際社会に対するアピールになるはずだったのにも関わらず、参加を表明しなかったのは、中国が独自に開発するワクチンを独自のルートで途上国に直接提供することで、彼らに対して恩を売り強い影響力をもつという思惑が見え隠れしています。

ただ、この問題はアメリカや中国の狭量を批判するだけで解決する問題でもなさそうです。

というか、我が国日本にアメリカや中国に対して理念を優先させるべきだと主張する資格があるかどうかという問題もあります。

というのも、「核兵器禁止条約」という条約がありますが皆さんはご存知でしょうか。

この条約は、核兵器の開発・生産・保有・貯蔵などを禁止して、核兵器のない世界を目指すための国際条約だ。2017年、賛成122カ国の圧倒的多数によって採択されました。

「核兵器なき世界」という世界の誰もが批判の使用のない理想を体現するものであり、核保有国・非核保有国を問わず、核兵器そのものを違法化するための動きです。

しかしながら、この条約には米国、ロシア、英国、フランスおよび中国という主要な核保有国がいずれも反対しているにとどまらず、実は、唯一の被爆国である我が国日本は、この理想に理解を示しつつもこの枠組みへの参加を見送った事実があります。

核保有国の反対の理由はさておき、日本の反対理由は、保有国である中国、北朝鮮が存在してしまっている東アジアの現状を考えると「日米安保条約で米国の核による拡大抑止、いわゆる『核の傘』の下にいること」を選択する方が現実的だとするものです。

だとすれば、世界で唯一の被爆国である日本が、理想より実利を優先するという判断をしている中で今回のCOVAXファシリティのアメリカや中国の不参加をどうして批判できるでしょうか。

悔しいけれど、世界政治において理想については支持できても実利を考えると参加はできないという「現実」が立ちはだかる様を再び見せつけられた気がします。