新しいニーズの見つけ方
2014年5月4日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
先日のGoogle本に引き続き、未来の見方的な本をご紹介します。
「~ありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探る~サイレントニーズ」です。
今ビジネス界でかなり話題となっている行動観察の分野で世界企業の多くが注目する若きスタープレーヤーが日常に潜むビジネスチャンスについて書いた本です。
まず、行動観察の定義ですが、以下のように言われています。
「フィールドでの人の行動を幅広い視点で詳細に観察し、エスノグラフィー(文化人類学や社会学において集団や社会の行動様式を調査し、記録する行為やその調査書)や人間工学(システムにおける人間と他の要素とのインタラクションを理解するための科学的学問であり、人間の安寧とシステムの総合的性能との最適化を図るため、理論・原則・データ・設計方法を有効活用する独立した専門領域)、心理学など人間に関するアカデミックな知見をもとに解釈することで、言語化されていないニーズやリスク、スキルを抽出すること」
余計に分かりにくくなってしまったかもしれません。定義を書いていて、そう思いました。つまりは、「実際に人々の行動を観察して、そこから潜在的なニーズを見つけ出すこと」ということのようです。
実際に、本書の中でも行動観察のスタープレーヤーである著者がわざと、調査する国の行動様式にそぐわない行動をとって、警察のお世話になってみたりするような非常に泥臭いプロセスを通して潜在的なニーズを探る様子が紹介されていました。
その中で、もっとも納得した著者のすすめる物事の本質をとらえるエクササイズを紹介します。
それは、自分たちが異星人だったとして初めて地球の物事を目撃した場合、どのように自分たちの仲間に伝えたらいいかを考えるエクササイズです。
例えばサッカーの場合は、「芝の上で22人の地球人が豚の膀胱を追いかけまわす遊び」ということになります。
なんとも、奇妙なエクササイズのようですが、この作業のポイントはすなわち、物事の「抽象化」です。
自分でもやってみました。「銀行業」では、
「現時点でお金の使い道がないお金の所有者からお金を預かり、お金がないけどお金を使いたい人に対して融通する仕組み。また、預けた人も必要な時には常に自分のお金を引き出すことができる仕組み。」
すみません。著者に比べると抽象度が全然足りませんね、、、でも、このダメダメな抽象化レベルでも、少なくとも銀行の店舗なんてものは銀行業にとって必須のものではないということが分かってきます。
ですから、ATMの機械は技術が許せばすぐ実用化されるべきであったし、インターネットが出現した時点でインターネットバンキングという銀行サービスは当然の帰結であったということになります。
そして、当然にしてこれらを実現した人たちはこの抽象化作業を実際に行ったはずです。
先日、仕事の関係で市役所にて印鑑証明をとりに行ったのですが、この印鑑証明の管理業務をこのエクササイズに当てはめれば、「自宅近くのコンビニ、いやむしろ自宅のPCから取得することができないわけがない」という事実に気が付きます。そして、いちいち市役所まで行き、そこで整理券をとって順番を待ち、そしてその代金を別の窓口で支払うということに対して突然いらだちがこみ上げてくるということになります。(笑)
しかしながら、この苛立ち自体がイノベーションの種だということに気づかされる素晴らしい一冊でした。