新旧融合のレトロモダン
2022年10月2日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
昨日(2022年10月1日)、東京に新たなランドマークが「誕生」しました。
「東京九段会館テラス」です。
いや、「誕生」という言葉は正確ではないかもしれません。
というのも、この建物は昭和天皇の即位を記念する事業の一環で1934年(昭和9年)に軍(国家)の訓練・宿泊施設として建てられた「軍人会館」として、そして戦後はGHQによって接収され、進駐軍の宿舎「アーミーホール」として、そして進駐軍撤退後の1957年からは、日本遺族会に国が無償貸与する形で名称を「九段会館」に改め、宿泊・結婚式場・貸しホールなどとして利用されてきました。
しかし、2011年3月11日の東日本大震災によってホールの天井が崩落し、その時挙行されていた専門学校の卒業式の参列者に死傷者が出たことから、日本遺族会は土地・建物共々国に返還し廃業することを決定します。
それから11年の時を経て、九段会館の一部を残す形で地上17階建のオフィスビル「九段テラス」として生まれ変わったのです。
新旧の写真を比べるとよく分かりますが、90年前の旧九段会館を建物北側と東側部分のL字状に保存し、保存部分と新築部分が一体となったデザインを採用しつつ、保存部分も日常利用を続けられるよう動態保存とすることで、完全に新旧の融合をによって歴史を身近に感じながら最新の機能を発揮できるような建物となっているそうです。
2022年10月22日、実際に行ってきました。(追記)
(こちらは日本武道館方面へ登っていく途中での一枚)
(正面から。オフィスビルのエントランスにしては重厚すぎる佇まい)
(敷地内にはこんな余裕のスペースも。重厚すぎるエントランスと併せて贅沢すぎる空間の使い方です。)
ちなみに、オフィスには日本遺族会の事務局が入居したというエピソード付きです。
ただし、日本遺族会は新しい施設の運営には携わらず、結婚式場の運営は歴史的建造物の利活用を専門とする「バリューマネジメント」という会社が行うようです。
ランゲッジ・ヴィレッジを運営する大芳産業の不動産事業部のポリシーも「古いものを極力生かしたリノベーションによって快適で機能的な空間を提供する」ですので、大変参考になる事例でした。