
日本はなぜ世界から取り残されたのか
2024年7月10日 CATEGORY - 代表ブログ
皆さん、こんにちは。
1ドルが160円を超え、欧米のインフレとの相乗効果で日本人が海外旅行に行くとものすごく貧乏になった気分になるという話をかなり頻繁に聞くようになりました。
ハワイ旅行に電気炊飯器を持参するなどという冗談みたいな話も。(笑)
失われた10年、20年、そして30年が聞こえてきそうな気配もある中で、いよいよ日本が世界から取り残されてしまったことを「実感」せざるを得なくなってしまっています。
どうしてこんなことになってしまったのか、そのような疑問に答えてくれるような本を探していたところ、「日本はなぜ世界から取り残されたのか」というドンピシャのタイトルを見つけましたので読んでみました。
本書の著者は田渕氏。
日本生まれで日本育ち、日本の大学を卒業後、アメリカの大学院に留学し、フロリダ州政府に就職し、日本・アジア企業のアメリカ誘致のための仕事を担われた後、アメリカ通商代表部の特別補佐官として日米自動車交渉などの経験を経て、帰国され、東洋大学名誉教授をされている方です。
そのような経験を持たれる著者が現役時代に培った世界的人脈を通して、見事なまでに右肩下がりで凋落した日本の要因を「日本人の性質」「政治」「経済」の三つにおいて探るというのが本書の目的です。
ただ、その三つはあくまでも「日本人の性質」がベースとなっているものであり、基本的にはそのすべてにおいて世界から以下のようなマイナス評価が下されています。
「日本人の性質で最も突出しているキーワードは『内向性』であろう。『仕事をする前に親しくなりたがる(仕事よりもまずは接待)』『人見知り傾向が強い』など、様々な表現で彼らはそれを語っている。それによって、『まあまあ』『なあなあ』で仕事をしてしまう。これが日本の中だけで通用するルールともいうべき『ジャパニズム』の一つの側面だ。また、この世界を知らない、英語が話せない、社会システムが古いなどの性質はグローバリズムが常識になる前は日本企業はお客様として海外と接し、外貨を稼ぐことができたが、世界中がスマートフォンを持ち歩く世界スタンダードの時代となった今、日本はスタミナ切れでどんどん追い抜かれているという具合だ。この『生きつらさ』を感じつつも、日本人がまだ安住していた『ジャパニズム』にしがみついているとしたら、後は完全に沈むのを待つだけだ。ここから脱却しなければ、明るい日本という未来は絶対に来ないだろう。」
ただ、「政治」についてはその中でも特に辛口だったのが印象的でしたので、こちらについての評価についても少しふれておきます。
「アンケート結果から特に浮き彫りになったのが、日本の政治家のレベルの低さだ。なぜ日本の政治家はレベルが低いのか。私の見るところ、日本の政治家は民主主義を理解しておらず、勉強もしておらず、民主主義国家において政治家が持つべき責任感と覚悟を持っていないからではないかと考える。日本の政治家は自分がどの分野の専門家なのかということをあまり言わない。(言えない)専門分野がない候補者には何も期待できないと私は思うが、選挙の時にポスターなどを見ても、所属政党と年齢くらいしか分からない。これで何を基準に選んだらいいのだろうといつも疑問に思ってしまう。アメリカには、政治家が恐れるメディアがある。具体的には、かつてトップの責任の下、政権と戦う決断をしたメディアがあった。(そのような選挙をいつも繰り返していて何も疑問を呈さない日本のメディアとは全く異なる。)」
このことについて私は、先日の「マスコミの本当の仕事」の記事でも取り上げて以下のような感想を述べました。
「(メディアの)本当の仕事が『世論の抽出』ではなく『「世論の形成』であるという圧倒的な自覚がマスコミになければ、このような意見の表明はできないはずで、私はそのような自覚を持ったマスコミが存在するアメリカを非常にうらやましいと思いました。」
ただ、よく考えてみると、そのようなメディアが存在しない日本は、そのようなメディアを必要としない私たち国民がいるからであり、そうなるとやはり、政治家のレベルはマスコミのレベル、マスコミのレベルはその国民のレベルということなのだと改めて感じざるを得ないわけです。
「明るい日本という未来」を本当に取りに行くのであれば、まず私たち国民が本気で目を覚ますしかないのだと確信しました。